孫氏が発火点の米モバイル再編、正念場の一週間に
ITジャーナリスト 小池 良次(Ryoji Koike)
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米国で「4G再編」とでも呼ぶべきモバイル通信業界のM&A(合併・買収)が一気に活発になっている。その火付け役は、米通信業界では"無名"だったソフトバンクの孫正義社長。スプリント・ネクステルの買収について最終的な結論が出る25日の臨時株主総会まであと一週間強。ソフトバンクの仕掛けた再編劇の第1幕が山場を迎える。
これまでも米国の通信・放送業界では規制緩和や技術革新、利用者獲得競争に背中を押されるように、何度か再編の波が押し寄せてきた。今回はソフトバンクのスプリント買収発表を起点に、衛星放送のディッシュ・ネットワーク、ドイツテレコム傘下のTモバイルを巻き込んだ買収合戦に発展している。
通信と放送の融合が本格的に実現する高速通信サービス「LTE」インフラを巡って、日本の起業家が米業界全体を揺さぶるという、新たな再編フェーズに突入した。
昨年10月、孫社長がスプリント・ネクステルの買収を発表したとき、米国でソフトバンク、孫氏を知る人はほとんどいなかった。それから約半年、連日のように報道されるディッシュ・ネットワークとの買収競争のおかげで、ソフトバンクと孫社長の名前は一般市民にも知れ渡った。
スプリント子会社のクリアワイヤも巻き込んでの買収合戦は、ソフトバンク、ディッシュとも買収金額など株主に有利な条件の提案を繰り出している。一連の騒動も、来週のスプリントの臨時株主総会を前にいよいよ大詰めを...