2019年9月16日(月)

シリコンバレーの「卒業式」が教えてくれること

(1/3ページ)
2013/6/10 7:00
保存
共有
印刷
その他

5月末から6月にかけて、シリコンバレーは卒業式の時期だ。英語ではプロモーション(Promotion)といい、その雰囲気は言葉が示すように、まるで大人の階段を一つ一つ上にあがってゆくような、お祭り騒ぎだ。

娘の中学の卒業式。未来は希望に満ちあふれている

娘の中学の卒業式。未来は希望に満ちあふれている

日本で学校の卒業式というと、正直、当たり障りのない来賓のスピーチと、校長先生の祝辞、そして完璧な生徒代表のスピーチで飾られる。それとは対照的に、シリコンバレーの卒業のスピーチはユニークだ。(ただし、あくまで長女の中学校と長男の小学校の二つの卒業式からの印象ではあるが)

それこそ、スタンフォード大学の卒業式で故スティーブ・ジョブズ氏(アップル創業者)が行った"伝説のスピーチ"ほどではないが、多くの人生の教訓や前向きな精神に満ちたストーリーが多かった。生徒のスピーチも、必ずしも学業優良の生徒ばかりではなく、スピーカーの生い立ちや背景も様々だ。

■生徒の一人ひとりが「小さなヒーロー」

娘の中学のスピーチの1人は、言語障害で読解力の発達が遅く、学校も勉強も好きではなく、他校から移ってきた生徒。自由で多様性を認める校風が彼女の劣等感を払拭し、人並みレベルの英語力になったことへの感謝の思いにあふれる素晴らしいスピーチであった。

さらに、海外からやってきて、1年生の時には片言の英語しかできなかった生徒。得意であった数学を徹底的に究め、数学コンテストの常連になり、学校での居場所を見つけた生徒。また、学校の休日には常にボランティア活動を行い、多くの生徒と教職員から人望を集めた生徒……。

それぞれの生徒が、まったく違った形で、小さなヒーローとして全校生徒にたたえられていた。聴衆であった私は、「優秀な学生=文武両道の子供」、という既成概念を持ち続けていたことに対して、恥じるような思いで聞いていた。

リーダーシップのあり方は決してひとつではない。成績表や表彰状に現れない、多くの苦労や経験。それをすべて受け入れて評価する学校や社会であってほしいと思わせるスピーチであった。

極めつきは、校長先生のスピーチ。ベンチャーに携わる人間の多くにとって、さらには国際化を考えるすべての日本人にも多くの示唆のある話だったので、いくつか要点を共有したい。

■卒業の言葉その1 "学校は多くの失敗をする場所"

学校は多くの挑戦をする場所。できることだけやっているようではだめ。多くの失敗を経験して、そこから学べば良い。今できないことにも挑戦して、将来に生かせば良い。失敗しなければ学びもない。恥ずかしい思いをすればするほど強くなれる。

"You don't fail as long as you learn from failure."

校長先生の一貫したスタンスは、多くの挑戦を奨励し、失敗した人間を罰するのではなく、自分(校長)が守るというものだ。失敗が一番の勉強になる。そんな思想を持った先生であった。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

「シリコンバレーの風」過去の記事から

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。