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お騒がせ俳優アシュトン・カッチャーのITベンチャー投資術

米国では最近、ハリウッドなどで活躍するセレブが新興企業に投資するケースが増えている。その代表格が米俳優アシュトン・カッチャー氏。16歳上の女優デミ・ムーアとの結婚や離婚などでメディアをにぎわしているカッチャー氏だが、米ツイッターの将来性をいち早く見抜くなど、プロのベンチャーキャピタル(VC)顔負けの「目利きぶり」を発揮している。

北米最大の携帯見本市「CTIA」の基調講演に登場した米俳優アシュトン・カッチャー氏(左)は、投資先の見極め術などについて熱弁をふるった。(米ラスベガス市、23日)

そのカッチャー氏が5月23日までラスベガス市で開催された北米最大の携帯見本市「CTIA」の基調講演に登場。投資先の見極め術や注目するアプリなどについて、多いに語った。

友人が使うスマホのホーム画面を参考に

「週に10~20時間は、じっくりと次に来るアプリ探しに費やしている」とカッチャー氏。ネット系新興企業のなかでも、最近特に注目しているのがアプリ企業だ。普及が進むスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)をより使いやすくするアプリに高い成長性を感じるからだ。

カッチャー氏は、アプリ分野の投資ですでに"大当たり"を出している。3月、米ヤフーが買収した英サムリーの初期投資家として名前を連ねていたのだ。スマホ向けにニュースなどを要約して読みやすくするアプリを手掛ける同社の買収額は、推定3000万ドル。サムリーの初期投資に参加していたのは20人以下とみられ、カッチャー氏の取り分も小さくなかったはずだ。

「インサイダー(内輪)情報」。どうやって未知の優良アプリを発掘するのかと問われると、こう回答した。すぐに冗談として笑い飛ばしたが、ツイッターの共同創業者で、現在はスマホを使った決済システム「スクエア」の最高経営責任者(CEO)を務めるジャック・ドーシー氏を「長年の知人」と呼ぶなど、ハイテク業界にいい人脈を持つことの重要さを示唆した。

米俳優アシュトン・カッチャーが投資した主な新興企業
会社名概要
ツイッター(米)ミニブログ最大手
サムリー(英)スマホなどでニュースを読みやすく要約するアプリを開発、3月に米ヤフーが買収、創業者が17歳(当時)の青年で注目を集める。
ファブ・ドット・コム(米)小売店では手に入りづらい逸品や限定商品を得意とする「セレクトショップ」型のネット通販
フォースクエア(米)位置情報を通じたスマホ向けの交流サイト
フリップボード(米)ニュースサイトの記事やブログなどを雑誌のような体裁で表示・閲覧できるアプリを提供
パス(米)登録できる友人や知り合いの数を150人に限定した交流サイト
エアビーアンドビー(エアB&B)(米)空き部屋をネットを通じて貸し借りできるサービス
カップル(米)カップル2人間での交流に的を絞ったアプリ

(注:カッチャー氏が共同創業者の新興企業向け投資ファンド「A―グレイド・インベストメンツ」による出資も含む)

業界の知人に会うと、まずはスマホの画面を見せ合う。「特に一番前の画面にあるアプリは頻繁に使っているものが多い」ので、投資の参考になるという。

熱弁をふるう米俳優のアシュトン・カッチャー氏(米ラスベガス市、23日)

ちなみに現在、カッチャー氏のホーム画面に陣取るお気に入りアプリは「フリップボード、パス、カップル」で、すでにVC投資も行っている。フリップボードは、ブログやニュースサイトの記事などを雑誌のような体裁で読めるようにするアプリ。パスは登録できる友人や知り合いの数を150人に限定した交流サイト(SNS)アプリで、カップルは2人間での情報交換に的を絞ったアプリだ。

SNSは使い分けの時代に

カッチャー氏によると、SNSは「用途によって使い分ける時代に入った」という。「高校時代の友人とつながっていられるフェイスブックの重要性は変わらないが、最近撮った写真などはそこでは公開しない。より親密な友人しか登録していないパスのネットワークを使う。プライベートな写真はカップルでしか共有しない」といった具合だ。

こうした新しいサービスの台頭で、かつてはヘビーユーザーだったツイッターに対しては、関心を失いつつある様子。「企業がゴミのような宣伝情報を垂れ流すので、ダメになっちゃったね」と語り、サービス改善が必要との辛口な意見を披露した。

ハリウッド出身のカッチャー氏だが、ネットや携帯端末向けの映像コンテンツ産業への投資には関心がないという。「いいコンテンツの制作には金がかかる。利益率が低いので、いい投資先とは言えない」と冷静だ。また、米映画業界は「保守的で、新技術の導入が後手に回りがち」と指摘。「映画館のなかで大画面で映画を上映しながら、携帯画面で関連の映像を放映して観客にみせるぐらいの冒険心が欲しい」と語った。

ゴシップネタでメディアを騒がすことの多いカッチャー氏。だが、CTIAでの語り口調はベンチャー投資家そのもの。的をついた指摘で、携帯業界関連者をうならせた。今後は、自身のプライベートライフよりも、投資先で注目を集めることが増えそうだ。

(ラスベガス=清水石珠実)

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