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工場・車・建機…世界中の稼働状況を管理 通信大手が「M2M」

国内通信大手が機器間通信(マシン・ツー・マシン=M2M)サービスの世界展開に踏み出した。KDDIは2日、ノルウェー系企業と提携し、世界約200カ国でサービスを提供すると発表した。2012年7月にはNTTドコモが一足早く、テレフォニカ(スペイン)やKPN(オランダ)など海外6社とM2Mで連携すると表明済みだ。

M2Mとは、機械と機械がネットワークを介して通信する技術のこと。人間の手を介さずに必要な情報を自動的に収集して、様々なシステム構築に活用するための技術として注目を集めている。

産業機械や自動車など対象となる製品を製造する国内ユーザー企業にとって、窓口ひとつで世界各国でサービスを受けられるようになる、今回の提携のメリットは大きい。国境を越えたM2Mの広がりを後押ししそうだ。

KDDIはテレノールコネクションとの提携でM2Mを世界展開する(8日、ワイヤレスM2M展のブース)

成功例で関心が急拡大

KDDIが提携するのはノルウェー通信大手テレノールの子会社で、企業向けM2Mサービス世界最大手のテレノールコネクション(本社はスウェーデンのストックホルム)。8日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した「第2回ワイヤレスM2M展」に両社は初めて共同ブースを設けた。M2Mを国内のみで提供してきたKDDIにとって、世界へのサービス拡大に向けたお披露目の場だ。

ブースには専用の通信モジュール(複合部品)を展示。名刺の2分の1ほどの大きさしかなく、様々な機器に容易に組み込めそうだ。産業機械や車に取り付けると、稼働状況や位置情報などを電話回線経由で自動的に収集できる。

ユーザー企業は(1)海外工場の生産状況を遠隔監視する(2)設備や車両の故障を予知して早めにメンテナンスを促す――といったことができるようになる。国内では飲料水の自動販売機の在庫管理でも普及している。

実はKDDIをテレノールコネクションとの提携へと駆り立てたのは、M2Mの導入を急ぐ国内ユーザー企業の動きだった。例えば、M2Mを駆使する先進事例として常に名前が挙がるのがコマツ。納入した建設機械の稼働状況や部品の状態を全地球測位システム(GPS)やセンサーを使って監視し、メンテナンスなどを建機の売り先に提案している。

こうした成功事例が広く知れ渡ったことで、国内の産業界でM2Mへの関心が急速に高まった。その一方で、「国内でM2Mを使っている企業が、国外にも広げたいというニーズも強まっている」(KDDI)。

このままではユーザーを失う

国内通信会社がサービスを世界展開しないと、日系グローバル企業は各国で通信会社と組んでM2Mを導入してしまいかねない。

実際、日立建機はテレノールコネクションのM2Mを以前から利用している。KDDIが手をこまぬいていると、みすみす商機を失うことになる。「13年を逃すと(ユーザー企業が)独自に動き、市場がなくなってしまう」(KDDI幹部)。こんな危機意識が提携へと背中を押した。

テレノールコネクションはKDDIにとって理想のパートナーだった。M2Mで15年近い実績を持ち、自動車メーカーのボルボ・カー(スウェーデン)や警備サービス大手のセキュリタス(同)、欧州各国の電気・ガス会社などの顧客を抱える。

ドコモは企業が人やモノの位置情報を使った各種サービスを提供しやすくする

親会社のテレノールが世界約200カ国に持つ通信ネットワークも魅力的だった。それぞれの国で現地の通信会社2社以上とローミング契約を結んでおり、M2Mに求められる回線の信頼性も高い。

それでいて、テレノールグループは日本や東南アジアの顧客基盤が比較的弱く、KDDIと組めば地域的な補完関係が成り立つ。KDDI幹部は「パートナー候補をテレノールコネクション1社に絞って12年末から検討してきた」と明かす。

今後は売り込み合戦が激化

M2M展の会場を訪れると、産業界での関心の高まりを実感できる。出展企業も関連製品やサービスの売り込みに躍起だ。

NTTドコモは人やモノの位置情報を携帯電話回線を通じて吸い上げ、地図上に表示するなどの機能を盛り込んだクラウドサービスを参考出展した。学習塾が子どもの見守り用にGPS端末を配り、親がいつでもパソコンやスマートフォン(スマホ)で居場所を確認できる、といった使い方を想定する。

NECはM2Mなど向けとして、障害物の影響を受けにくい920メガヘルツ帯無線を利用する通信モジュールなどを出品した。M2Mの普及をにらみ、通信業界やIT業界の売り込み合戦が激しくなる見通しだ。

(産業部 小谷洋司)

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