2019年8月19日(月)

ビールとSNSの関係
(テクノロジー編集部BLOG)

2013/4/8 7:00
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4月に入り新入社員や異動者を迎えた職場では、歓迎会が開かれていることでしょう。低アルコール飲料、ノンアルコール飲料に需要が移っているとはいえ、やっぱり乾杯になくてはならないのがビールのはず。

皆さんはどんなビールがお好みですか。「サッポロクラシック」という商品があります。サッポロビールの北海道限定商品ですが、先月まで札幌で勤務していた私は、もっぱらこのクラシックを好んで飲んでいました。北海道のからっとした気候に合った味わいで、昨年まで12年連続で売り上げを伸ばしています。

クラシックの健闘とは裏腹に、国内で発泡酒や「第三のビール」を含めたビール系飲料の市場は縮小の一途です。出荷量は2012年まで8年連続で過去最低を更新。割安感から好調だった第三のビールまで伸びが鈍ってしまいました。

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こうした状況にあって、ビール各社も商品の魅力づくりに余念がありません。いま注目しているのは、サッポロが交流サイト(SNS)を活用してビール愛好家を取り込もうとする戦略です。

同社は先月、「百人のキセキ」というビールをネットで発売しました。最大の特徴はフェイスブック上のページ「百人ビール・ラボ」で、消費者とライブ会議を繰り返して商品化につなげたこと。ライブ会議は半年間で18回に及び、「あなたの飲みたいビール」「味を決める」「ネーミング」「パッケージデザイン」「販売・宣伝手法」などの各回のテーマに沿って議論しました。のべ1万2000人のビール愛好家が参加し、8500個のコメントが寄せられたということです。

この会議を経て「1人でとことんじっくり味わう」といったコンセプトや、商品名の「百人のキセキ」を固めました。完成披露を兼ねた試飲会を都内で開くなど、愛好家が実際に顔を合わせる場も設けています。

「ワインと違って、ビールを飲みながらビールについて語るということがなかったですよね」。同社の北海道本社戦略企画部の清水周子副部長が説明してくれました。確かにワイン愛好家がワインを語りながら味わうシーンはあっても、ビールではあまり見かけません。同社はビール愛好家が集うコミュニティーをつくって、消費者参加型の商品開発を狙っているのです。

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ファンを呼び込むという点では、サッポロは百人ビール・ラボとは別に、昨年4月からフェイスブックで「北海道Likers(ライカーズ)」というページも運営しています。社名を前面に出さず、サッポロの故郷である北海道の食や観光の魅力をふんだんに紹介。日本語だけでなく、英語、中国語でも提供しています。

ファン数も85万人を突破。実は言語別の内訳をみると、20万人を突破したのは英語が一番はやく、次が中国語でした。英語はインド、パキスタン、フィリピンなどの人が多く、中国語は台湾が最多でマレーシア、香港と続きます。これらの海外の人たちが実際にどれだけ日本を訪れたり、サッポロの商品を手にとったか不明ですが、「北海道が元気になれば、サッポロビールも元気になる」(清水副部長)という発想から、社名や商品の宣伝ではなく、地域の魅力を訴え続けているのです。

では今後こうした取り組みを生かして、ビール市場の活性化につなげられるでしょうか。

サッポロは本気です。先月の組織改正でデジタルマーケティング室を設立しました。ウェブ広告、SNS、ブランドサイトなど社内で分散していたデジタルメディアを統一。従来とは違うマーケティングを目指しています。こうした取り組みは下位メーカーならではの、捨て身の攻撃という解釈も成り立つかもしれません。ビール愛好家の一人としてサッポロの挑戦を見守りたいと思います。

(村)

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