2019年8月20日(火)

「完璧求めず余裕を」 くまモン生みの親・小山薫堂氏のヒットの極意

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2013/1/9 17:23
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 日本から世界的なヒットが出なくなって久しい。日本企業がかつての輝きを取り戻し、存在感を再び示すにはどうしたらいいのか。景気の波や時代の変化に負けず、常にヒットを飛ばし続けるヒットメーカーたちに、人気を生むアイデアの発想法を聞いた。
 初回は放送作家の小山薫堂氏。「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」などのテレビ番組をヒットさせ、最近ではプロデュースした熊本県のPRキャラクター「くまモン」が全国で人気に。同氏は「日本企業は隙のない完璧な製品を作りすぎる。もっと余裕や振れ幅を設けるべきだ」と提言する。

こやま・くんどう 1964年、熊本県生まれ。日大芸術学部在籍中に放送作家として活動を開始。代表作は「料理の鉄人」など。様々なプロジェクトの仕掛け人としても有名で、熊本県のPRキャラクター「くまモン」の生みの親でもある。

こやま・くんどう 1964年、熊本県生まれ。日大芸術学部在籍中に放送作家として活動を開始。代表作は「料理の鉄人」など。様々なプロジェクトの仕掛け人としても有名で、熊本県のPRキャラクター「くまモン」の生みの親でもある。

――日本製品の魅力はなぜ薄れてしまったのか。

「一つ一つの製品は使ってみると魅力的に感じるものが少なくない。ただ操作がものすごく複雑だったりする。対照的に米アップルのiPhoneはとてもシンプルだ。アプリで自在にその姿や役割を変えることができるのもいい。言ってみれば、使い手に自由を認めているといえる」

「日本の製品は作り手の思いが強すぎるのではないか。隙がない完璧さを求めすぎている。このように使ってください、それ以外の使い方はできません、といった注文をつけられているような気がする。これでは今の消費者には受け入れてもらえないだろう」

「消費者は自分たちのライフスタイルに合わせ、製品やサービスに"ちょい足し"することを志向し始めている。食材で始まった流れが、家電などにも広がってきた。受け手が育てようという気持ちになる製品を作らなければいけない。それを良しとしない姿勢や考え方に問題がある」

――では、どうすればいいのか。

「どんな製品でも、まずは消費者の生活のワンシーンに置かれた場面をイメージしなければいけない。その上で、製品を前にした消費者自身が、こんな新しい利用法ができそうだ、と考えを巡らせるようなコンセプトを考える。製品に余裕や振れ幅を設けるといってもいいだろう」

「世界の市場で綿密な調査をしているマーケティングの専門家なら、消費者の変化に気付いているはずだ。ただ今までのやり方でモノが売れ過ぎた。成功体験をベースに事業を続けたので、多くの日本メーカーが痛手を被っているのだろう」

「個人的には市場環境が悪くなったというよりも、しぼんで元に戻ったように感じている。だったら今の状況を悪いととらえるべきではない。過去のしがらみを捨てる好機と考え、消費者が求めている製品を真摯に作っていくしかない」

――ちょい足しの発想を、自分ではどう生かしてきたのか。

「2007年に始めた東京スマートドライバープロジェクトなどは好例だろう。市民が主体となって交通安全の意識を広めていこうという活動で、最初は首都高速の交通事故を減らすため、意識の高いドライバーが自発的に安全情報を発信し、共感の輪を広めていこうといった内容だった」

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