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「地球温暖化」でも厳冬なのはなぜ? 原因は夏の北極海に

日経サイエンス

気象庁によると今冬、東日本以西は平年より寒くなりそうだという。既に各地から大雪被害のニュースも届いている。米国では2010年2月に大雪でワシントンの政府機能が約1週間にわたりマヒした。

地球は温暖化しているはずなのに、なぜ寒い冬が増えているのか。その原因がどうやら夏の北極海にあることがわかってきた。

まず、北半球の冬の天候を左右する気候の振動現象を知っておきたい。北極振動(AO)や北大西洋振動(NAO)と呼ばれるものだ。

AOは北極周辺と亜熱帯の気圧が、一方が平均よりも高いとき、もう一方は平均よりも低いという具合に、シーソーが上下するように変化することを指す。

AOの強弱を示す指数は正と負の値を取り、北極側の気圧が低いときに正、高いときに負になる。NAOもAOに似た、より狭い範囲の現象だ。

AO指数が正の時期は、北極付近の上空を流れる渦の流れが強くなり、寒気はそこに封じ込められる形になる。負の時期は逆に極渦の勢いが弱くなり、寒気が中緯度地域に流れ出して、寒冷な天候が訪れる。

50~60歳代の年配の方なら、子供のころの冬がひどく寒かった記憶があるのではないか。1960年代はAO指数やNAO指数が大きく負に傾いた時期で、寒い冬の時代に対応する。

ところが1970年代以降はこれらの指数は正に振れるようになる。そして暖冬の年が増えた。この時期は地球温暖化への関心が高まった時期と重なる。だが、近年は再びAOやNAOが負になることが多くなっている。

AOやNAOは数十年という比較的長い周期で正と負の状態が移り変わる。ところがこの自然のリズムをかく乱する新たな要因が特定されてきた。それが夏の北極海における海氷の減少だ。

氷が解けた海洋から秋に余分な熱が放出され、北極付近の気圧が高まり、北極と中緯度地方の温度差は小さくなる。

このため冬にAOやNAOが負になりやすくなる。この結果、極渦やジェット気流の勢いが弱まり、極寒の北極の大気が欧米や日本などの中緯度地域に流れ出ることになる。

温暖化による北極海の海氷の消失は今後も続きそうで、負のAOやNAOはますます起こりやすくなる。

温暖化時代の厳冬という逆説的な現象はこれからもしばしば現れそうだ。

(詳細は25日発売の日経サイエンス2月号に掲載)

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