キンドルが開けた「パンドラ」 競争が崩す商慣習
楽天コボは値引きなどで対抗

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2012/10/28 7:00
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アマゾン・キンドルの衝撃は、あらゆる競争を加速させる。その1つが電子書店間の競争激化。今後を考えれば、電子書籍でも同一価格という商慣習が崩れる可能性も十分にある。すでに楽天コボを展開する楽天は、価格破壊に片足を入れているといってよいかもしれない。

楽天の三木谷浩史社長率いるコボは販売攻勢を強めている

楽天の三木谷浩史社長率いるコボは販売攻勢を強めている

くしくもキンドル上陸の報が流れた24日、ツイッターなどで「コボが勝手に送られてきた」との報告が相次ぎ、ネット上で話題となった。送付されたのはモノクロで省電力の電子ペーパーを搭載する「kobo Touch」。7980円で販売されている。

■楽天コボでは電子クーポンによる電子書籍の値引きも

楽天によると「楽天カードの上位会員を対象に日頃のご愛顧を感謝する意味で送付した。キンドルとは関係がない」。11月には新型端末のリリースも予定されており、在庫処分の側面もあると見られるが、それにしても無料配布は大胆な試みだ。

コボストアで35%引きのクーポンを利用。1962円の電子書籍が665円引きで購入できた

コボストアで35%引きのクーポンを利用。1962円の電子書籍が665円引きで購入できた

楽天コボは、今年7月にサービスを開始した際、「約3万冊」と表示していた蔵書数が実際は1万9164点だった件について、今月中旬、消費者庁から行政指導を受けた。だが8月には3万点を達成し、その後の勢いもすさまじい。三木谷浩史社長はかねて、通販サービスで「打倒アマゾン」を標榜している。電子書籍でも相当に意識しているはずだ。

コボでは、電子書籍を割り引くプロモーションも進行していた。もともと北米では、紙の書籍だろうが電子書籍だろうが値引き販売が常態化している。有力な手法が「クーポン」。カナダに本社を置くコボも北米などで数々のサイトや会員に向けて「クーポンコード」を発行している。ユーザーのあいだでは、このコードが日本語書籍でも適用可能だと話題だ。

クーポンコードは海外のクーポンサイトなどで検索すれば何種類も出てくる。たとえば、その1つ「thankyou2012」という文字列をクーポンコードの欄に入力するだけで、誰でも何でも35%引きで買えてしまう。実際、27日時点で有効だった。有効期限が切れても、クーポンサイトには次々と新たなコードが登録されるため、それを使えばよい。つまり「表示価格」に依存しない割引き手法によって、事実上、電子書籍の価格破壊は進んでいるといえる。

■電子ペーパー搭載キンドル端末、年内は入手不可

こうした競争に、アマゾンが対抗しないという保証はない。キンドルが日本の電子書籍市場を拡大し、書店として強大な販売力を手に入れれば、自ら進んで価格を引き下げる出版社が現れるかもしれない。その可能性はすでに高まっている。

キンドル端末のインパクトは大きい。格安ながらタブレットとしての魅力も備えるキンドル・ファイアHDを含め、広く普及する見込みは高い。電子ペーパーを搭載した「キンドル・ペーパーホワイト」は、NTTドコモの3G回線を搭載した機種がわずか1万2980円。電池は8週間も持ち、携帯電話の圏内ならどこでも通信料なしでコンテンツをダウンロードできる。11月19日から出荷予定だが、すでに27日時点で納期は来年1月6日。相当数の注文があることをうかがわせる。

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