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「良太と大和」は低迷阪神を救えるか

11日に5年ぶりの8連敗を喫するなど、現在5位に低迷する阪神タイガース。雰囲気が暗くなりがちなチームの中で、ひときわ元気なのが「良太と大和」だ。新井良太(29)は三塁、登録名「大和」こと前田大和(24)はセンターの定位置に手をかけた。このままポジションを確保し、沈滞ムードをはね返す起爆剤になるか。

兄、貴浩らの不振でチャンス得る

良太がフルスイングして両手を空へ突き上げる格好は、DeNA・中畑清監督が巨人の現役だったころと似ている。

大げさな動きで気持ちをかき立てる様子もそっくり。やや内向的な実兄の新井貴浩と違い、性格も"キヨシ的"だ。

三塁をつかむチャンスは、兄の"守乱"とブラゼルの不振で巡ってきた。5年間在籍した中日では一塁の控え。阪神へ移籍した昨季も、三塁は2軍で守っただけだった。

今季は和田豊監督に「キャンプのMVP」と褒められるほど元気だった。だが、ポジションのほとんどはチームの顔といえるベテランに占められ、守る場所がなかった。

代打より先発起用で本領発揮

ところが、正三塁手、貴浩の送球が乱れがちで、一塁へのコンバートが検討された。一塁のブラゼルが打撃不振に陥り、代役候補の城島健司の故障が長引いたのも、良太が三塁に座るのに追い風となった。

駒大の4年春のシーズンまで守った三塁。守備のカンを取り戻すのに、さほど時間はかからなかった。

代打で1打席だけでは、良太の思いきりのいい打撃のよさが出ない。

先発メンバーでゆとりを持って臨むと、相手バッテリーが脅威を感じるほどの鋭いスイングを見せた。「良太が打つとチームが盛り上がる」と和田監督は言い、相手は「彼を乗せてはいけない」と警戒した。

チームに必要な「熱くなれる」人材

「熱くなれる」 最初は下位打線に座り、"脅威の7番打者"といわれるほどの活躍ぶりだった。後半戦の開始直後には良太、貴浩、金本知憲でクリーンアップトリオを組み、9日の巨人戦からは初めて4番に据えられた。

度胸のいい良太だが、兄や郷土広島の大先輩、金本と同列に並ぶと、さすがに重圧を感じた。

注目される巨人戦の4番では、スクイズを命じられた。信頼される主砲にはまだ遠く、扱いは"4番目を打つ打者"だ。

それでも、めげないのが良太のいいところ。「2ストライク後はコンパクトに振る」というが、常に積極的なフルスイングだ。

今季の阪神のスローガンは「熱くなれ」。貴浩や鳥谷敬ら主力にクールな人物が多いチームだけに、もっと前面に出てほしい存在である。

スピード野球の担い手「大和」

「いいショートがいる」と、2006年の阪神・沖縄キャンプを取材した解説者の吉田義男さんが漏らした。鹿児島・樟南高から高校ドラフト4巡目で入団したばかりの大和のことだった。

内野手としてのセンスのよさに"牛若丸"も目を見張ったのだ。だが、今の大和は外野手になっている。

二、三塁の控え選手だった大和だが、今年の沖縄キャンプで外野の練習も指示された。和田監督は走れて守れる若手の出場機会を増やし、スピード野球を目指した。大和はその方針に沿って抜てきする候補のひとりだった。

レギュラー組の大半が出場した2月19日の巨人との練習試合(那覇)。大和は思いもよらず「2番、中堅」での出場を指示された。

驚いたが、出番が増えるのは望むところだ。このときは、試合後半に遊撃へ回った。外野の適性を試すと同時に、まだ"便利屋"としての練習を課せられている感じだった。

外野手として合格点は得たが

テストを重ねて外野手としての合格点を得た。開幕後、中堅で起用されたが、左打者の柴田講平との併用だった。

相手投手が左腕なら大和、右なら柴田という、お決まりの起用パターン。大和は広い守備範囲と思い切りのいい走塁を武器に一歩リード。右投手が相手でも起用されるようになった。

ところが、大和が打撃不振に陥ったところで柴田が巻き返してきた。最近では大和と同じ右打者の登録名「俊介」こと藤川俊介も、のし上がってきた。

「2番中堅」確保か、便利屋逆戻りか

両者とも快足で根っからの外野手。1軍で外野のポジションに手をかけたのは大和より早く、試合経験も積んでいた。大和は伸び悩んでいた2人の刺激剤に仕立てられたともいえた。

さらに、二塁、上本博紀の台頭で平野恵一が中堅に戻り、競争は激化した。大和が勝ち残るカギは打撃である。

バットを短く持った打撃はしぶといが、落ちる変化球への対応に課題を残している。「2番、中堅」を確保するか、便利屋に戻るか。本人にとってはもちろん、低迷するチームにとっても重要な時期にさしかかっている。

(スポーツライター 浜田 昭八)

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