オタク文化を世界に、フェイスブックで600万人集客
知られざる「Tokyo Otaku Mode」の起業ストーリー

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2012/8/10 19:34
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「フェイスブックは集客しやすいけれど、マネタイズ(収益化)はしにくい。フェイスブックから自分たちのサイトにユーザーを流して、そこでマネタイズするのが狙い」と話す。どんなもくろみを抱いているのか。サイトをのぞいてみた。

■狙いは「『ドン・キホーテ』みたいなカオス感」

アニメのイラストから「初音ミク」や「新世紀エヴァンゲリオン」などのコスプレ写真、「ワンピース」のキャラクターを持ったカーネルサンダースおじさんの写真まで、あらゆる写真が雑多に並んでいる。それぞれの写真をクリックすると閲覧数や写真の説明が表示されるほか、フェイスブックで友達と「シェア」したりコメントを残したりできるようになっている。

そう。ビジュアル系SNS(共有サイト)として一躍、人気となった米国の「ピンタレスト」のようなしつらえだ。ピンタレストには楽天が今年5月に出資しており、今後、eコマース(電子商取引)と融合させるとしているが、TOMの狙いもまさにそこにあると亀井は言う。「(量販店の)『ドン・キホーテ』みたいなカオス感があるような売り場ができたらと思っている。目的はないけど、来てみたらおもしろくて、ついつい買ってしまうような」

むろん、うまくフェイスブックからユーザーを誘導できるのか、販売チャネルをどう構築するのか、課題は多い。ただ、試行版のサイトにもかかわらず、立ち上げから実質わずか1週目で120万ページビュー以上の流入があったなど、フェイスブック効果は絶大だ。eコマースも、すでに試行が始まっている。

otakumode.comの上部に表示されているバナーをクリックすると、グッドスマイルカンパニー(東京・墨田)という、その筋では著名なフィギュア販売を手がける会社のウェブサイトに飛ぶ。そこには、初音ミクや、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラクターなどをデフォルメした人気フィギュアが並んでいる。

「米国ではテストクライアントと先行事例を作るのが常識。グッドスマイルさんにはすごく満足してもらっている」。亀井は手応えをこう語るが、「今はあくまでテスト。ユーザーをがっかりさせないよう、これから1カ月かけて作り込んでいく」と慎重だ。

■クールジャパンの救世主になるか

「この先は僕らだけでは無理」と、コンテンツ産業との協業に意欲を見せる

「この先は僕らだけでは無理」と、コンテンツ産業との協業に意欲を見せる

嫌がる亀井を秋葉原の街に連れ出し、渋々、撮影に応じてもらった後、最後に「どうして取材に応じてくれたんですか」と尋ねてみた。すると亀井は、こう答えた。

「日本のメディアを通じて日本の消費者にピーアールする必要はないけれど、日本のコンテンツ企業に存在を知ってもらう必要はある。これからのフェーズは、僕らだけじゃ無理。いろんな会社さんと協力していかないと」

潜在力は高いが海外に売れないクールジャパン。経済産業省によると、映画・アニメ・テレビ番組・ゲーム・書籍等のコンテンツ産業の市場規模は約12兆円(09年)。米国に次いで世界2位の規模だが、海外輸出比率は5%と米国の17.8%の約3割にすぎず、海外需要を取り込めていないのが現状だという。

何とかしようと官民あげて海外への売り込みに知恵を絞るも、具体策は見えていない。そこへ彗星(すいせい)のごとく頭角を現したTOMは、クールジャパンの救世主になるか。すでに水面下では、出版社や玩具メーカーなどとの話が始まっている。

(電子報道部 井上理)

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