2019年9月18日(水)

オタク文化を世界に、フェイスブックで600万人集客
知られざる「Tokyo Otaku Mode」の起業ストーリー

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2012/8/10 19:34
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転機は5月中旬。100万人以上のファンを抱える有力なフェイスブックページに取り上げられ、たった1日でTOMのファンは1万人を超えた。

「最初は何で増えたのか、何がうけたのか分からなかった」という亀井は、きっかけもさることながら、「懲りずに1カ月間、更新し続けて、記事がたまっていたのがよかった」と分析する。見に来てくれたファンを飽きさせない「アーカイブ」が「いいね!」の輪を次々と広げていった。

今年の年越し、日本からいち早く「Happy New Year」と投稿した。すると各国語で「日本は早いね」「ブラジルはまだだよ」と2000件を超えるコメントが付いた。「いろんな言語が乱れ飛んでいるのを見て、グローバルサービスってこういうのだなと実感できた。見てて熱くなって、うるうる来た」。そう感じた亀井は「法人化」への決意を固める。

選んだのは日本ではなく米国の地だった。あまり英語が得意ではないにもかかわらず……。

■翻訳支えるボランティアの「Ninja部隊」

亀井が出向先の電通と出向元のCCIに辞意を伝えたのは今年3月。その前月、2月に米シリコンバレーに「視察」へ出向いていた。視察といっても自腹。海外の企業を訪問したり、現地市場を目で確かめたりする「趣味」を続けていたが、シリコンバレーは初訪問だった。職場の部長は「やっと本場にいくねー」と声をかけてくれたという。

知り合いのつてで米グーグルの社員に会い、その社員が500スタートアップスの社員を紹介してくれた。まだ法人格もないTOMに資金と、オフィスのスペースを提供するという願ってもない申し出。「やらないであきらめるより、やってみたほうが」と亀井は乗り、米デラウェア州に本社を登記し、シリコンバレーにオフィスを置いた。いきなりの海外にとまどいがなかったわけではない。だがTOMの狙う市場は米国を中心とする海外。米国で旗を揚げることは理にかなっていた。

不得意な英語は「始めてしまえば何とかなる」。確かに何とかなっていた。

TOMには翻訳を担当する「Ninja」と呼ばれる10人ほどの外国人部隊がいる。亀井らが日本語で記事を書き、クラウドの「グーグルドキュメント」にアップすると、無償で英語などに訳してくれるボランティアだ。居住地は米ニューヨーク、メキシコ、スペインとさまざま。すべて、ネットのボランティアサイトで探した。世界随一の「オタクサイト」に参画できるというプライドと自負が、Ninja部隊の原動力となっている。

■事業化に向け自社サイト構築

TOMの自社サイト「otakumode.com」。現在、限られた会員のみに試行版を公開中

TOMの自社サイト「otakumode.com」。現在、限られた会員のみに試行版を公開中

本格的な事業化に向け、日米を行き来しながら忙しい日々を送る亀井。米国ベンチャーとして立ち上がったものの、活動の比重は日本に置いている。日本の生の情報がTOMの生命線だからだ。秋葉原がある台東区に日本法人の登記も済ませた。

「これで大手を振って日本のメディアに華々しくデビューできますね」。そう言うと亀井は「いや、そういうわけでは……」と口を濁す。聞けば、事業化に集中したいのだそうだ。

TOMは7月、「otakumode.com」という自社サイトを立ち上げた。今はまだ試行版で、メールアドレスを登録したユーザーに順次、会員になるための招待状を送っている段階。これを9月末をメドにリニューアルし、一般へのオープンの段取りをつける計画だ。

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