2019年9月23日(月)

オタク文化を世界に、フェイスブックで600万人集客
知られざる「Tokyo Otaku Mode」の起業ストーリー

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2012/8/10 19:34
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メンバーは皆、本業を抱える社会人。プロジェクトの活動時間は木曜夜と土曜朝10~夜8時を定例とし、進められた。時には議論が白熱し、各自が帰宅してからメッセンジャーアプリの「スカイプ」で続きをやることもあった。

ターゲットは最初からフェイスブック。亀井の思いが強く、海外に向けて日本のコンテンツ情報を発信していく「メディア」をフェイスブックの中に作ろうと決めた。「ネタ」は必然的にオタク文化へと収れんしていった。

■「6カ月で10万人」という足かせ

米国、ロシア、台湾、インドネシア、オーストラリア……。日本のコンテンツに興味がありそうなユーザー、100人ほどにメールでアンケートも行った。マンガやアニメ、コスプレ、フィギュア、初音ミク。日本語の情報はネットにあふれているが、海外のユーザーはそうした情報に飢えていた。

TOMのメンバーは、日本のオタク文化を世界に広めている英国出身のダニー・チュー氏のブログも参考にした

TOMのメンバーは、日本のオタク文化を世界に広めている英国出身のダニー・チュー氏のブログも参考にした

「やはり『秋葉原』に関係するものが人気」「僕らが出したい情報ではなく、彼らが欲しがっている情報を出していこう」。東日本大震災が日本を襲ったのは、いよいよTOMを立ち上げようという直前のこと。計画はずれ込んだが、3月24日、無事オープンにこぎ着けた。

だが、立ち上がりは最悪だった。

最初の1カ月が過ぎ、5月の大型連休に入ろうという頃、TOMのファンは1000人にも満たなかった。「6カ月で10万人の『Like』が付かなかったらやめよう」。そんな覚悟で始めたが、到底、届きそうにない。「これはまずい」。亀井は先輩に頼み込んで別荘を貸してもらい、連休を利用して仲間と「合宿」を決行した。

現実味を帯びる「閉鎖」。「6カ月で10万人」というリミットを本当に課し続けるのか。だが亀井らは「それがないとがんばれないよね」と、足かせを解くことはしなかった。

TOMの使命もいま一度、確認した。TOMは何をすべきなのか。日本のコンテンツの「いま」を海外にちゃんと知らせることだ。震災後の大型連休。日本はずたぼろだ。海外にも伝わっている。「でもコンテンツにフォーカスすると、ぜんぜんいける。日本のためにも、日本のコンテンツにちゃんと光を当て続けよう」。そんな話し合いをした。

■たまった記事のアーカイブが奏功

投稿の役目は主に亀井。秋葉原のショップやアニメ関連のイベントに足を運び、取材をした。「トーキョーオタクモードというネットメディアなんですけれど、ぜひ取材させてください」「どんな会社なんですか?」「いや、会社組織ではないのですが……。でも、海外にファンがいます。悪いことではないですよ」

そんなやりとりを繰り返し、ネタを積み重ねた。「人が来るか分からないけど、来ると信じて、ほぼ毎日、ひたすら地味に更新し続けた」。その努力が報われたのは連休の直後だった。

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