夢を与える「ヒーロー」を育てよ、挑戦者=起業家に寛容な社会に

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2012/7/23 7:02
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そして、この多くの業界のヒーローたちは、米国だけでなく、世界中のテクノロジーに興味を持つ人間に夢を与え、起業を目指すことが格好良いという価値観を社会に醸成した。

■なぜベンチャーにヒーローが不可欠なのか?

なぜ、ベンチャー活性化にヒーローが必要なのだろうか?

ベンチャーは文字通り、もっともリスクの高い職業であり、精神的にも過酷なライフスタイルでもある。私の知る多くの起業家は、日々資金が尽きる不安に襲われ、せっかく獲得した人材が離れてゆくストレスに悩み、開発中の製品やサービスがうまく機能せず、揚げ句の果てに予定していた事業が軌道に乗らない恐怖と戦っている。

あるジュニアゴルフの世界大会にて。午前6時の練習場の風景。この中から未来のタイガーが生まれる?(筆者撮影)

あるジュニアゴルフの世界大会にて。午前6時の練習場の風景。この中から未来のタイガーが生まれる?(筆者撮影)

そんな毎日を送ってでも、新しいイノベーションを起こすべく挑戦するベンチャースピリットがシリコンバレーで尽きない理由は、社会のカリスマ的なヒーローがベンチャー企業から生まれ続け、"優秀だと思うならば起業して自分に続け"というマントラ(神秘的な力を持つ言葉)が社会で機能しているからである。

考えてみれば、子供がスポーツ選手に憧れ野球やサッカーを始め、アイドルに憧れ歌手を目指すように、人は神格化されたヒーローを通じて夢を見て、行動し、努力し、時にその夢を実現する。理想とするヒーローが社会の各所に多ければ多いほど、未来に対する展望は明るくなり、社会に活気が生まれるのは明白だ。

また一方で、真のヒーローは、社会での認知度が高ければ高いほど、おのずと行動を律することになり、「エセヒーロー」に陥らないメカニズムが働くはずだ。この起業家ヒーローと社会の健全な交互作用は、社会的にインパクトのある経営者を継続的に輩出する上では極めて重要な構造である。

日本で人気の漫画、ワンピース。海賊のリーダーである主人公のルフィが少数精鋭の仲間と海賊王を目指す冒険の物語だ。若者を中心に多くの日本人がこの漫画に夢中になる理由の一つは(筆者もその一人)、主人公以外にも白ひげや、赤髪のシャンクスといった個性多くのヒーローが登場し、それぞれの信念を持って、周囲の人間を感化して、巻き込みながら世界を変えてゆくというロマンに共鳴するからであろう。また、良く言われるように、国家の行く先が不明瞭な時代には、おのずとヒーロー待望論が台頭するという現実がある。

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