2019年7月18日(木)

夢を与える「ヒーロー」を育てよ、挑戦者=起業家に寛容な社会に

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2012/7/23 7:02
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子供だった時を思い出して欲しい。誰もがテレビのスーパーヒーローやアイドル、スポーツ選手や歴史上の人物に憧れ、いつかそのような人物になることを夢見た瞬間があったに違いない。自分の人生と未来に輝きと希望を与えてくれる身近なヒーローの存在は、我々の努力と向上心の原動力になっていたはずだ。

伊佐山元(いさやま・げん)
1973年2月生まれ。97年東大法卒。日本興業銀行からスタンフォード大学ビジネススクールに留学し、ベンチャーに目覚める。現在、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとしてITサービスやネットメディアの投資を担当。日米のテクノロジーベンチャーを発掘し、世界に広めることを生き甲斐とする。プライベートでは子供にゴルフを教えながら頭と心を鍛えることを趣味とする。

伊佐山元(いさやま・げん)
1973年2月生まれ。97年東大法卒。日本興業銀行からスタンフォード大学ビジネススクールに留学し、ベンチャーに目覚める。現在、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとしてITサービスやネットメディアの投資を担当。日米のテクノロジーベンチャーを発掘し、世界に広めることを生き甲斐とする。プライベートでは子供にゴルフを教えながら頭と心を鍛えることを趣味とする。

しかしながら、我々の多くは大人の階段を上る過程で、いつしかこのヒーローに憧憬する純粋な心を失い、厳しい現実と向き合う日々に奔走し、疲れを感ずる生活に慣れてしまう。あのヒーローやヒロインに憧れ、夢を見ていた心はどこに行ってしまったのだろうか?

■若者は個性あふれるヒーローに憧れる

私が日本でもっとも良く聞かれる質問として、"なぜ日本ではベンチャーが増えないのか?なぜシリコンバレーのような生態系が構築できないのか?どうすればベンチャーが次々と生まれる循環が生まれるのか?"がある。

「3.11」以降、政治家、官僚、自治体、事業会社を含め、何とか日本でも起業しやすい環境や、法制度を整えることで、日本を活性化させようと言う議論は活発で、実際に起業するインフラは限りなく欧米的になってきている。これは嬉しい変化である。ただし、法制度の拡充やベンチャーの振興キャンペーンだけでは、ベンチャーの持続可能な創造という循環は構築できない。では何が足りないのだろうか?

私が問題視しているのは、日本には起業家のヒーローが少なすぎるという現実だ。社会にもっとヒーローが増えれば、世間の雰囲気は明るくなり、若者はお手本とする人物を見つけ、その人に憧憬し、人生に前向きになる。それこそ、シリコンバレーの一つの特徴である、社会に根拠無き楽天的なムードを醸成することができるはずだ。

先日筆者が勤務するベンチャーキャピタルの投資先企業のCEOや創業者をカナダのリゾートに集めてカンファレンスを開いた会場。この参加者の中から次の時代のヒーローが生まれることを待望している(筆者撮影)

先日筆者が勤務するベンチャーキャピタルの投資先企業のCEOや創業者をカナダのリゾートに集めてカンファレンスを開いた会場。この参加者の中から次の時代のヒーローが生まれることを待望している(筆者撮影)

米国の社会には必ずこの"ヒーロー"が存在する。特にシリコンバレーやハイテク産業には多くの個性あふれるヒーローがいて、多くの若者のロールモデルになっている。実際に、私の多くの投資先の創業者も必ず誰かに憧れてベンチャーを起業している。

アップル創業者の故スティーブ・ジョブスを筆頭に、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、オラクルのラリー・エリソン会長、セールスフォース・ドット・コムのマーク・ベニオフCEO等々、名前を挙げればきりがない。

それぞれが決して聖人君子的な完璧な人間であるわけでもなく、多くの失敗やスキャンダルもある経営者ではあるが、社会への貢献の総和で人物を評価することで、それぞれが米国ハイテク産業のヒーローとして存在している。

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