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世界4500万の和製アプリ「LINE」、課金サービスへ急進

「フェイスブックを超えたい」と森川社長

「スマホのコミュニケーションに新しいイノベーションを起こした。それがLINE」――。東京・渋谷の新名所「ヒカリエ」で3日、開催された無料通話アプリ「LINE」のイベント冒頭。LINEを提供するNHN Japan(東京・品川)の森川亮社長はこう切り出した。わずか1年で「和製アプリ」としては史上最速ともいえる急成長を遂げたLINEは、収益化へと大きくかじを切った。

NHN Japanの森川亮社長

LINEは昨年6月23日にスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けのコミュニケーションツールとして登場した。ユーザー数は1年で、世界230カ国以上、4500万人まで拡大。うち約4割の2000万人が日本人だ。今年3月末時点で、実に国内スマホユーザーの44%がLINEユーザーという驚異的な普及を背景に、今回、新機軸を次々と打ち出した。

登場1年で国内スマホユーザーの44%が利用

LINE事業を統括する舛田淳執行役員は、新たなプラットフォーム戦略を紹介する前に、数々の数字を明らかにした。

LINE事業を統括する舛田淳執行役員

「4月に始めた有料の『スタンプ』の売り上げは、4~6月の2カ月で3億5000万円を売り上げ、毎月5000万円増のペースで増えている。6月は2億円ほど」。LINE人気を支える1つに大きめのイラストで感情を伝えることができる「スタンプ機能」がある。4月に始めた有料のスタンプの売り上げを舛田執行役員が明かすと、会場はどよめいた。

「1年がたち、ようやくプラットフォームに進む準備ができました。人と人をつないだLINEは、その先にコンテンツ、サービス、ビジネスをつなぐプラットフォームへと進化します」。舛田執行役員が紹介したのが「LINE Channel」だ。

「LINE Channel」に登場するクーポンサービスの画面

LINE Channelは、LINEユーザーと外部・姉妹サービスとをつなげるサービス基盤。LINEユーザーと一緒に楽しめるゲームや占い、クーポンなどの各種サービスが、NHNに加え、外部のパートナー企業からも、順次、提供されるという。占いは大手出版、マガジンハウスの「anan」から、クーポンはリクルートの「HOT PEPPER」からといった具合だ。

「サファリ」などのブラウザー(閲覧ソフト)ベース、あるいは、LINEとは別のアプリという2つの形態で提供されるが、裏側ではLINEの会員基盤とつながっている。

スタンプ販売、音楽配信、決済機能などを備える

「スマホライフのゲートウェイを目指す」というLINE Channelには今後、「LINEサウンドショップ」という音楽の販売機能も加わる。LINEの無料通話の着信音として選択したり、LINEを通じて友達にプレゼントしたりすることが可能で、パートナーには大手レコード会社が出資するレコチョク(東京・渋谷)がつく。これにより、LINEは国内外の有名アーティストの音楽を楽しむことができるプラットフォームとしても進化する。

NHN Japanはイベントで、パートナー企業がビジネスを円滑に進められるよう、「LINEコイン」という決済機能を加えることも明らかにした。ユーザーはLINEコインを先払いで購入、ここから各種有料サービスに消費していく。

新たに実装される「タイムライン」の画面。友人の「近況」が時系列で並ぶ

さらに、電話帳をベースとしたごく親しい仲間とのコミュニケーションに閉じていたLINEは、本格的なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)としての機能も実装する。それが、新機能の「ホーム」と「タイムライン」である。

ホームは、テキストや写真、位置情報などの情報で自身の近況を更新していくページ。「Facebook(フェイスブック)」や「mixi」といったSNSの自分のページと似ている。「タイムライン」は他人の近況を知ることができるページ。同じく、フェイスブックの「ウォール」と似たもので、これまでの「トーク」機能と同様、他人のタイムラインにスタンプを送ったり、メッセージを送ったりすることも可能。これまでの「会話」をベースとしたコミュニケーションに、「近況」をベースとしたコミュニケーションが加わることになる。

今回の発表会は東京で開催したということもあり、国内の取り組みが中心となったが、今後は海外企業とも積極的に提携関係を結び、プラットフォームのグローバル展開も進めていく。日本、韓国、台湾と、東アジア中心に普及が進むLINEだが、今年下半期は欧米や中国への浸透に注力し、2012年末までに「世界1億ユーザー」を達成したいと意気込んだ。

KDDIと提携、高齢者ユーザーへの浸透も狙う

イベント終盤には、米アップルよろしく、大画面に「One more thing」と映し出され、KDDI(au)との業務提携を発表した。KDDIが自社のスマホユーザー向けに提供している有料のアプリ提供サービス「auスマートパス(月額390円)」の1つとして、LINEも加わることになった。auスマートパス向けLINEのみの限定スタンプも登場する。

KDDIの高橋誠専務

壇上にはグリーへの出資や米スカイプとの提携を手掛けたKDDIの高橋誠専務が登場、「LINEという素晴らしいプラットフォームを、KDDIとしても力いっぱい応援していきたい」とエールを送った。

そもそも無料であるアプリが、auの有料サービスの1つとして提供されることに何の意味があるのか。業務提携の意義を舛田執行役員に問うと、「我々がリーチできていない層、例えば高齢の方など、隅々までLINEを浸透させる狙いがある」と答えた。auスマートパスの売りは、「安心・安全」。スマホ初心者や高齢者向けに普及している。

新たなLINEは、既に米アップルの審査を受けている段階で、アップルが承認し次第、「近日中」に登場する。iPhone版と同時に、アンドロイド版もリリースされる運びだ。

「日本のコンテンツ、サービスが世界に流通する。世界のコンテンツ、サービスが日本に流通する。LINEはスマホに新しいエコシステムを構築していく」。舛田執行役員がこう語ると、森川社長は「ユーザー数でフェイスブックを超えたいなと思っています」と話した。

韓国企業の日本法人ながら、日本法人独自の企画として生まれたLINE。しばらく和製アプリの快進撃から目が離せそうにない。

(電子報道部 井上理、杉原梓)

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