ソーシャルメディア運営 「管理せず」が開く可能性 (徳力基彦)

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2012/7/4 7:00
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通常は政府や企業がソーシャルメディアで情報発信する際には、必ず利用者によるネガティブな発言や、誹謗(ひぼう)中傷、炎上と呼ばれるようなトラブルをどう回避するのかという議論が巻き起こる。企業や組織の公式アカウントの担当者は注意に注意を重ねて発言するだろう。トップダウンで管理したくなるのも当然だ。

カンヌライオンズは国際的な広告表彰イベントだ=AP

カンヌライオンズは国際的な広告表彰イベントだ=AP

ただ、ソーシャルメディア上のコミュニケーションというのは、実際には対面での会話と同じ、利用者や国民との意見交換会の場と同じであって、批判もされれば議論も巻き起こってしまうのは当たり前だ。

スウェーデン政府のように、組織による支配や管理の権利を手放してしまうということは、批判やトラブルも起きやすくなるというデメリットが増える。その半面、よりソーシャルメディアの可能性の本質に近寄ったことで、今回のようなグランプリ受賞につながる話題になっているともいえるのではないか。

ユーザーに公式アカウントの管理を任せるというのは、なにもスウェーデン政府が初めてではない。コカ・コーラは4300万超の「いいね!」を誇る世界最大級のフェイスブックページを持つ。もともとはコカ・コーラファンのユーザーが始めたものを企業の公式ページとして運営を委託したという経緯がある。

スウェーデンやコカ・コーラのようなアプローチが取れるかどうかは、文化やユーザー層に左右される。リスクがないと言えばウソになるが、ソーシャルメディアの支配や管理を諦めることで、新しい可能性が見えてくることも間違いない。

[日経MJ2012年7月4日付]

 「ECの波頭」は最新のEC事情を、専門家が読み解きます。執筆は、D4DR社長の藤元健太郎氏、通販コンサルタントの村山らむね氏、デジタルハリウッド大学教授の三淵啓自氏、アジャイルメディア・ネットワーク社長の徳力基彦氏が持ち回りで担当します。
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