2019年7月18日(木)

浜岡原発で進む津波対策、安全性は
編集委員 滝順一

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2012/6/20 7:00
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建屋の上に置いた予備のディーゼル発電機

建屋の上に置いた予備のディーゼル発電機

かねて浜岡の弱点だと反原発団体などから指摘されてきた「引き波」の問題にも手をうった。津波の引き波で沖合の取水塔が海面から露出したら取水ができなくなる事態がありうると指摘された。これに備えて既存の取水槽とは別に新たな地下貯水槽を3~5号機に一つずつ(容量各約1000トン)建設中で、くみ上げ用ポンプも既存の設備とは別に新設し水密性のある建屋に収めた。これによって取水ができなくても原発を冷却を続けられる時間を20分間延ばした。その間に引き波が終われば取水に支障はないという計算だ。

地震対策については、08年の時点で対策を終えている。東海地震や、東海・東南海・南海の3連動地震(マグニチュード8.7)を想定し、耐震基準で示された揺れの強さ(加速度)800ガルを上回る1000ガルの自主目標を設定し、排気塔や配管の支持構造を強化し揺れに強くした。

現在進行中の津波対策については12月末までに終える計画で、その結果の確認を中部電力は原子力・安全保安院に要請している。昨年の停止時の申し合わせで、経済産業省は対策を「評価・確認する」と約束していることに基づく。

原子炉建屋の搬入口を二重化して水密性を高める

原子炉建屋の搬入口を二重化して水密性を高める

ただ「地元の理解をいただくことが大事」(倉田千代治・中部電力浜岡地域事務所長)と、再稼働時期の設定には慎重だ。仮に防波壁などの津波対策が「合格」しても、それとは別に全原発を対象にしたストレステスト2次評価の対象になる。しかし政府が2次評価をどう進めるのかはっきりせず、そこへ3連動地震の揺れや津波の想定をかさ上げする議論が生じており、不確実要因が多い。

また新たな原子力防災体制として、原発周辺30キロ圏まで対策を考えることになると、これまで安全協定を結んできた4市(御前崎、牧之原、掛川、菊川市。人口約25万人)から、7自治体(約78万人)にまで拡大。緊急時に現地対策本部を置くオフサイトセンターの移転も必要になる。牧之原市議会が昨年、「確実な安全・安心が将来にわたって担保されない限り、永久停止にすべきである」と決議するなど、原発を見る目は厳しさを増している。

中部電力は周辺自治体などから見学者を積極的に受け入れている。大がかりな津波対策工事や多重的な対策ぶりを見せて安全への熱意をアピール、再稼働への理解を醸成しようとしているようにみえる。浜岡原発の将来は中部電力の経営にとどまらず、東海地域の生活や産業活動にも影響を与える。政府は現状を成り行き任せにしておくのではなく、早期に方向性を示すべきだろう。

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