2019年7月24日(水)

浜岡原発で進む津波対策、安全性は
編集委員 滝順一

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2012/6/20 7:00
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海岸の砂丘堤防の向こうにみえる取水塔

海岸の砂丘堤防の向こうにみえる取水塔

壁は長さ12メートル分がひとつのブロックを構成し、それを109体並べて、総延長約1.5キロの長い壁を構成する。壁を築いている場所は浜辺の「砂丘堤防」の内側で、地表面の高さが海抜6~8メートル。壁のてっぺんの高さが海面から18メートルになる計算だ。

砂丘堤防(高さ12メートル)を海水が乗り越えてきたら防波壁で受け止める計画だが、壁はブロックごとに切れ目がある。こうした構造は施工上やむを得ないかもしれないが、これで津波の巨大な運動エネルギーを受け止め切れるか、津波到来前の地震で壁の間に海水の浸入を許す隙間ができることはないか、専門家による検証が要るだろう。

浸水のリスクは堤防のほか、貯水槽にもある。浜岡原発は福島第1原発などと違い、敷地内に専用港がない。海側は砂丘だ。このため冷却水は海岸から沖合に約600メートル離れた取水塔(原子炉1基に一つずつ)から取り込み、地下トンネルで原子炉建屋の足元の取水槽まで引き込んでいる。津波到来時に押し寄せた海水が取水槽から敷地にあふれ出る可能性がある。

中部電力の対策は、もし防波壁が乗り越えられたり取水槽があふれたりした場合も想定して、建屋の水密性を徹底している。原子炉建屋の搬入口を2重化して海水が押し寄せても容易に壊れないようにするほか、建屋内の非常用ディーゼル室(1階)や非常用炉心冷却系機器室(地下2階)に水密扉を追加したり補強したりする。また貯水槽の脇にある海水取水ポンプの周りを壁(高さ1.5メートル)で囲う工事を進めている。敷地に浸入した海水を建屋に入れないようにする。

5号機建屋内の非常用ディーゼル発電機

5号機建屋内の非常用ディーゼル発電機

さらに万が一、海水の浸入を許してディーゼル発電機などが動かず電源喪失に陥った場合でも、原子炉を冷やし続けられるよう、建屋の屋上に予備のディーゼル発電機を置いた。また背後(北側)の高台(海抜25メートル)にガスタービン発電機や貯水タンクを置き電気や水を供給できるように考えた。ブルドーザーなどの重機や予備のポンプなど緊急時の資材も高い場所に保管し、がれきを除去して予備品を運搬できる態勢を整えた。

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