米フェイスブックIPO「外伝」、泣いた人、笑った人

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2012/5/31 7:00
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交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが上場してから1日で2週間。株価が期待ほどは上がらず、システム障害を起こした証券取引所や情報開示に問題があったとされる幹事証券会社が投資家の八つ当たりの対象となっているが、意外な人物も上場の思わぬ余波をかぶっている。大型上場を巡る関係者の泣き笑いの様子をお届けする。

■米市民権放棄で批判を浴びた共同創業者

米国籍の放棄で集中砲火を浴びたフェイスブック共同創業者のエドゥアルド・サベリン氏(25日、中国・北京)

米国籍の放棄で集中砲火を浴びたフェイスブック共同創業者のエドゥアルド・サベリン氏(25日、中国・北京)

「この1週間、いや数週間は本当にわくわくする毎日だった。ただ、新規株式公開(IPO)のお祝いはあったけど、会社も自分の生活も現実的には何も変わっていない。前へ進むだけだ」。25日、中国・北京。IT(情報技術)関連のイベントに顔を見せたエドゥアルド・サベリン氏はこう話した。

サベリン氏はフェイスブック共同創業者のひとり。現在は投資家だが、これまで公の場に姿を現すことはまれだった。同氏以外の共同創業者では、新たなベンチャー企業を設立したり、オバマ大統領の選挙スタッフになったりする人がいるのとは対照的に、ひとりだけ目立った活動が少なかったのが一因だ。

だが、上場直前からサベリン氏の名前がメディアをにぎわす。きっかけは米ブルームバーグの報道だった。ブラジル出身のサベリン氏は米国の市民権を取得していたが、それを放棄するというのだ。同氏は約40億ドル(約3200億円)相当のフェイスブック株を保有し、さらに現在は税負担の軽いシンガポールに住んでいることもあり、「節税が狙い」と報じられた。

記事にも解説があったが、米国には「出口税」と呼ばれる制度があり、市民権を放棄して生活基盤を海外に移す際には保有資産に対して売却時と同水準の税金を課せられる。この制度がある限り節税との批判は当たらないが、それでも「株式の価値が低いうちに市民権を放棄すれば節税につながる」などと集中砲火を浴びた。

サベリン氏は報道の直後から「生活基盤を置いているシンガポールの住民となることが合理的と判断した」と声明を通じて反論。米ニューヨーク・タイムズのインタビューにも応じて「市民権放棄と税金は無関係」「自らのことは世界市民と考えている」と主張したが、騒動は思わぬ方向に飛び火することになる。

「移民を温かく迎え、安全や教育の機会を提供し、億万長者になる手助けをした国を捨てるような人物を見るとむかむかする」。17日、チャールズ・シューマー米上院議員は怒りをぶちまけた。同議員はサベリン氏を念頭に、市民権を放棄した富裕層に対する新たな課税を検討していると表明。納税に応じなければ再入国を禁ずるという厳しい内容だ。

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