慶大ベンチャーが挑むEV普及、開発に「オープンソース」手法

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2012/5/25 10:58
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設計図を公開して参加企業を募る「オープンソース」型の電気自動車(EV)開発プロジェクトが進んでいる。慶応義塾大学発のベンチャー企業が主導し、このほど公開された試作車は1回の充電で航続距離351キロメートルという業界最高水準の性能を達成。今後も段階的に性能の向上を進めていく計画だ。独自モーター技術をベースに、部品、素材、デザインなど100近い企業・団体(現時点)の要素技術を持ち寄り、2014年ころの量産化を目指す。IT(情報技術)ではオープンソースは一般的な手法になりつつあるが、自動車分野の新車開発といえば大手メーカーが秘密裏に進めるのが一般的。これを"開放"することで、最先端の技術を取り込みつつ開発スピードを早めることを狙っている。

シムドライブのブースに展示された試作2号車(左)と1号車(23~25日まで開催中の「人とくるまのテクノロジー展」パシフィコ横浜、横浜市) 

シムドライブのブースに展示された試作2号車(左)と1号車(23~25日まで開催中の「人とくるまのテクノロジー展」パシフィコ横浜、横浜市) 

開発の旗振り役を務めるのは慶大学発のEVベンチャー、シムドライブ(川崎市、清水浩社長)。清水氏は同大環境情報学部の教授で、自らが発案した独自モーターを使ったEVを設計。これを実用化するために、日本や海外の企業からEV開発に使える技術やノウハウを広く募ることにした。

すでに2010年には試作1号車を、11年からは2号車の開発にも着手した。EVにとって最大の課題であるコストダウンと長い航続距離、安全性を実現するため、「軽量化」「断熱」「強度」などをテーマに設計図を公開し、広く企業・団体から参加メンバーを集めた。

「大手自動車メーカーは独自にEVを開発しているが、すべての素材・部品を自己調達するのは難しく、価格も高くなってしまう」。シムドライブで車両開発を統括する真貝知志執行役員は、既存の大手メーカーの開発手法について、こう指摘する。同社は「最高の要素技術を持ち寄れば、最小の費用で短期間でも開発できるのでは」(真貝氏)と考えた。

慶大の清水教授が30年間温めてきたEV開発の「仕様書」をオープンにし、10年から共同開発を始めた。参加する企業・団体は参加費2000万円を支払い、技術者も派遣して他社のエンジニアと机を並べて開発作業を進める。

モーター、ボディー、シャシーなど5つのグループに分かれてEVの基本構造を決定。各社が提供する部品や素材を取り入れながら、設計・デザインが進められ最終的なスペックを決定する。参加企業は、自社の技術がどのようにEVに応用できるかを探りつつ、実車で強度試験などの数値結果を得ることができる。それをもとに完成車メーカーや自動車部品メーカーに売り込むことも可能で、シムドライブがいわばEV開発の「実験台」「ショールーム」として機能するわけだ。

試作2号車は「軽量化」「断熱」などを重点テーマを掲げて開発中で、3号車はスマートハウスと連携した蓄電システムなどを視野に入れている。

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