火力発電、化石燃料を「賢く」燃やす  エネルギーを確保せよ(3)
技術で創る未来

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2012/5/24 6:57
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「日本の液化天然ガス(LNG)消費量を3割減らせます」――。こんな革新的な発電技術が2020年ごろの実用化に向け、今夏にも動き出す。キーワードは「トリプルコンバインドサイクル発電」。長崎造船所(長崎市)で実証研究を続けてきた三菱重工業が目指すのは燃料が持つエネルギーの70%を電気に変換する究極の火力発電所だ。

■三菱重、燃料電池を併用 LNG2300万トン節約

現在、LNG火力の主流はガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたダブルコンバインドサイクル型で、燃料エネルギーを電気として取り出す比率を示す発電効率は55~60%。これを全て70%に引き上げられれば、日本全体で年2300万トンものLNGを節約できるという。

日本では11年度のLNG輸入量が8300万トンと10年度比で18%も増えた。原子力発電所50基すべてが止まり、LNG依存度がさらに高まる見通しなだけに、実現すれば資源調達戦略に与える影響も大きい。

高効率の秘密は高温で発電する固体酸化物型燃料電池(SOFC)を併用することでLNGから3段階でエネルギーを搾り取る点にある。

仕組みはこうだ。LNGはまず、SOFCに送り込まれる。主成分であるエタンから取り出した水素と酸素を反応させ、電気を取り出す。次にSOFCが発する熱も使ってLNGを燃焼させ、その圧力でガスタービンを回し、2度目の発電をする。最後にガスタービンから出た排ガスの余熱で液体を沸騰させ、蒸気タービンで発電する。

三菱重工の小林由則・新エネルギー事業推進部次長は「高温に耐えられる素材開発は難しく、ここから先は燃料電池を組み合わせることで飛躍的に効率が上がる」と自信をみせる。

今夏にもまず小型の直径3メートル、長さ11メートルの250キロワット級の実証設備が東京ガスの東京・荒川の施設でスタート。14年以降には東北電力と組み、4万~11万キロワット級の実証にも入る計画だ。

石炭火力でも復権に向けた取り組みが始まった。主役は「石炭ガス化複合発電(IGCC)」と呼ばれる技術。石炭を燃やす従来の石炭火力とは異なり、石炭を高温でガス化してLNG火力と同じようにガスタービンと蒸気タービンで発電する。

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