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ヤフオクとパフュームと「ガチャ」

世の中には、なかなか手に入らないレアなモノやサービスがあります。手に入らないから、余計に欲しくなってしまう。そんなとき、重宝するのがヤフーオークション(ヤフオク)です。

といってもそんなに頻繁に利用するわけではありません。今年に入って僕が購入したのは2つ。1つは人気アーティスト「Perfume(パフューム)」の武道館公演のチケット。1つはGREEの人気ソーシャルゲーム「ドラゴンコレクション」のレアカードです。

共通するのは通常の購入方法では絶望的なほどレア度が高いということ。奇しくも同じ落札金額で、どちらも4万円ほどでした。

「分かる~」と共感してくれる人はなかなかいないでしょう。「なぜそんな金額を」というのが正常な反応であることくらい分かっています。でも、僕はどうしても欲しかったのです。人の価値観や趣味というのは、そんなものです。

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では、どうしてそれぞれ4万円の価値を認めたのか。

パフュームは「ポリリズム」でブレイクする以前からの古参ファン。曲を手がける中田ヤスタカのテクノサウンドと、シンクロ率が半端ない3人の個性的なダンスの「マリアージュ」に魅せられ、小さなライブハウスにも足を延ばしました。チケットは余裕で購入できました。武道館や東京ドームで公演するようになった今では考えられません。

事前の抽選は当然のように外れ、早い者勝ちのチケットはつながらないまま5分と経たずに売り切れます。仕事もあり張り付くわけにもいかず、最近では端から諦め、ヤフオク狙いです。

ドラゴンコレクションは半ば仕事で始め、途中から「極めねば記事など書けぬ」と意地になり、毎日のように遊ぶようになりました。だいぶ課金もして、それなりに強くなりました。でも最上位のレアアイテムで最強の「レジェンドカード」だけは、ガチャを何回引いても手に入らない。

ほかのユーザーが持っているキラキラと輝くレジェンドカードを見ると羨ましく思い、輝かないカードを自身の最強カードとして飾っている自分が恥ずかしくもなります。仲間にもなめられます。増幅していくちっぽけなプライドと虚栄心。レジェンドが出るまでガチャを回し続けたら10万円、いや20万円になってしまうかもしれないという焦りも手伝い、だったら手っ取り早くヤフオクで買った方がいいと思うようになりました。

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で、どうだったか。先に買ったのはレジェンドカード。手に入れた時のアドレナリンが出るような興奮は忘れられません。500万人以上もユーザーがいるのに、僕が手にしたレジェンドカードの流通枚数はたったの1000枚強。その種類は仲間も持っておらず、優越感に浸りながら自身のプロフィール画面に飾りました。どうだ、おまえらと。仲間は褒めてくれました。

弱そうなユーザーを見つけてはバトルで戦いを挑み、次々と秘宝を奪っていきました。でも、しばらくすると誰も褒めてくれなくなり、バトルにも飽きてしまいました。また新しいレジェンドカードが出たからです。

何だか、自分の嫌な部分や負の感情を巧みに突かれた気がして、複雑な気持ちになってしまいました。カードは今でも手元にありますが、このブログを書くまで存在を忘れていました。

一方、パフューム。現役のクラブDJでもある中田ヤスタカの趣味もあるのでしょう。バリバリのテクノサウンドに無数のフラッシュとレーザー光線。まるで武道館がクラブになったようで、汗が噴き出るほど踊り狂いました。公演時間の半分も消費してしまうほどのトークは、パフュームライブの名物。会場のみんなと一緒に腹を抱えるほど笑いました。

3時間はあっという間に過ぎ、チケットも、その時間も、もう手元にはありません。でも、忘れられない楽しい思い出は今でも心に残っています。同じ4万円。僕はやっぱりこっちの方が安かったなと思うのです。

(理)

 日経電子版テクノロジーでは編集部ブログを始めました。旬のニュース、話題の技術、取材・編集の舞台裏など、様々なテーマで記者やデスクが書き記していきます。「テクノロジー」への読者の皆様からのご意見、ご感想も募集しています。こちらの投稿フォームからお寄せ下さい。

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