海洋・地熱エネルギー、古くて新しい電源  エネルギーを確保せよ(4)
技術で創る未来

(3/3ページ)
2012/5/24 7:00
保存
共有
印刷
その他

日本の企業や大学が参加する海洋エネルギー資源利用推進機構は3月末にEMECと協力協定を結んだ。川崎重工業が取り組む潮流発電の実験も2013年度に、ここから始まる計画だ。

九工大が関門海峡の岸近くに設置した潮流発電装置

九工大が関門海峡の岸近くに設置した潮流発電装置

日本でも「日本版EMEC」構想が浮上している。政府は実験海域を複数箇所つくる方針。場所は自治体から公募する予定だ。岩手県や佐賀県などが候補地として検討する。岩手の復興を海洋エネルギー利用の面から支援する東大の黒崎明特任教授は「海外の実証フィールドとネットワークができる」と期待する。

実用化に向けて「漁業に役立つ設備」とする構想も浮上する。研究者からは海上や海中に設けた構造物の一部を魚礁として使ったり、水温などのデータを漁業者へ提供したりする案が出ている。

地熱発電も温泉業界との協調が欠かせない。解決策の一つとして期待されるのが、温泉水から熱を取り出す「温泉発電」。新潟県十日町市の松之山温泉で昨年12月から実証実験が始まった。

地熱技術開発(東京・中央)と産業技術総合研究所、弘前大が共同で出力50キロワット級のシステムを開発、沸点の低いアンモニア水を沸騰させタービンを回す。地熱技術開発の大里和己取締役は「温泉水を分けてもらい発電している。伊豆半島などでも可能性がある」という。温泉発電は、分散型電源としての使い道もある。新潟県は県内の他の候補地も模索している。

高温岩体発電の技術は、国内でも地下水量が減衰してきた地熱発電のてこ入れ技術として使われ始めた。三井金属子会社の奥会津地熱(福島県柳津町)は河川の水を地下の高温層に注ぎ蒸気量を復活させる手法を今秋から日本で初採用する。

歴史のある日本の地熱発電は蒸気量が減っている所は多い。奥会津のケースが普及すれば、既存の地熱発電の稼働率アップに道が開ける。新規立地による温泉との調整回避にもつながりそうだ。

関連産業との調和の方法を生み出すのも技術の責務。それでこそ未来は開ける。

(三浦義和)

[日経産業新聞2012年5月22日付]

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
保存
共有
印刷
その他

日経産業新聞のお申し込みはこちら

電子版トップ



[PR]