海洋・地熱エネルギー、古くて新しい電源  エネルギーを確保せよ(4)
技術で創る未来

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2012/5/24 7:00
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それ以外の海洋エネルギーの研究も昨秋から一気に動き出した。独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が初めて複数の研究を委託し、大型プロジェクトがスタートしたのだ。

■造船産業の強み

「潜水艦や造船の技術が使える」と自信をみせるのは川崎重工業の平松秀基・企画本部新事業企画課長。潮の流れでプロペラを回し発電する潮流発電を計画しており、今年1~3月にオランダの大型水槽で10分の1モデルの発電性能を検証した。風力発電機を海底に固定する構造だが、重要なのは発電機を密閉するシーリング技術やプロペラを潮流に合わせて動かす制御方法だという。

IHIは海底からケーブルでプロペラを海中に浮遊させ日本近海の黒潮などで発電する海流発電の研究を東大などと始めた。プロペラに貝などがこびりつかないようにする塗装技術なども日本に一日の長がある。

地熱発電も古くて新しい技術だ。環境省が国立・国定公園内の掘削を条件付きで認める規制緩和を進めるのをきっかけに、福島県内で大規模発電所の計画が持ち上がるなど再び脚光を浴びる。

長年日本が研究してきた「高温岩体発電」。地上から水を入れ、地下の熱で蒸気にして使う技術も日の目を見ようとしている。NEDOや産業技術総合研究所、電力中央研究所で取り組んできた研究成果の一部がオーストラリアでのプロジェクトで活用される。

中南部クーパーベイズンの地熱発電プロジェクト。4000メートルの井戸を複数掘り、水を注ぐ。地下の熱で蒸気にし、循環させることで発電する。1メガワット級のプラントを造り来年にも発電する計画で、地層や水の動きを解析する日本の技術が貢献している。

海洋エネルギーや地熱発電は日本が世界をリードしていた時期もあったが、欧米が急速に力をつけ、今関係者は「このままでは米国に圧倒される」という危機感が強い。

課題もある。海洋や地熱には漁業や温泉など、すでにその恩恵を利用する関係者が少なくない。共存の道を探りながら、コア技術を磨き、実績を積み重ねることが再び日本が先頭に立つ第一歩になる。

   ◇         ◇   

イギリス最北部、スコットランド沖が海洋ネルギーの実験場になりつつある。欧州海洋エネルギーセンター(EMEC)が実験海域を設定。環境を汚染しないようにする必要はあるが、漁業関係者との調整はほとんど必要ない。海底にはケーブルが敷かれており、発電プラントを設置すればすぐ実験できる環境が整う。

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