2019年5月24日(金)

巨大EMS企業、「上流工程」を握れ 破格の出資
鴻海-シャープ 提携の舞台裏(上)

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2012/5/27 7:00
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「正しく理解している人が少ないのではないだろうか」。世界最大のIT(情報技術)機器受託生産会社、台湾・鴻海精密工業(ブランドはFoxconnとして知られる)とシャープが決めた資本提携に対する日本人の反応やメディアの報道を見るにつけ、私はそう感じています。

台湾・新北市の工業団地にある鴻海精密工業の本社

台湾・新北市の工業団地にある鴻海精密工業の本社

それも無理ないのかもしれません。民生用エレクトロニクス産業の変化スピードは極めて速い上に、台湾のIT産業を取り巻く環境やルールは、日本のそれらと大きく異なります。日本で同産業に携わる人ですら、そのスピード感にキャッチアップするのが難しいくらいです。だからこそ、鴻海・シャープの提携から見えてくる鴻海の本当の姿を知って欲しいと思います。

私は2006年に日経エレクトロニクス(日経BP社)誌で初めてFoxconnの実態を詳細に報じました。10年からは台湾に移住し、日本のコンサルティング会社や電機・電子部品メーカー向け調査サービスを提供したり、古巣の専門誌に時折寄稿したりしています。

これまでFoxconnの創業者で董事長を務める郭台銘氏に、4度ほど単独インタビューをしました、以前、ベンチャーキャピタルで働いていたこともあります。そうした経験に基づき、今回は日本の人々が抱きがちな誤解のうち2つを取り上げながら、Foxconnの本当の姿とシャープとの提携の真意を紹介したいと思います。

誤解その1 「Foxconnは中国工場の従業員に酷い条件の労働を課しており、それが同社の経営の最大の問題点だ」

中国や米国のメディアは「Foxconnは労働者を搾取をする『血汗工廠』の運営主だ」と繰り返し非難してきました。そうした情報に基づいて同社をうさん臭い目を向ける人は、台湾にもいます。

EMS世界首位Foxconnの中国・深セン工場=AP

EMS世界首位Foxconnの中国・深セン工場=AP

しかし、実情を知る製造装置や部材を供給するメーカーの社員に話を聞くと、皆が「あれは真実ではない。同社は中国内で最高水準の労働環境を提供している。もちろん私たちの中国工場よりずっと良い」と明確に答えています。実際、2012年には、米国での一部報道がでっち上げだったことが発覚しています。

今回は他に書きたいことがあるので詳細には踏み込みませんが、「あれは真実ではない」という発言を信じたほうが合理的でしょう。人員不足が深刻な中国において110万人もの人々がわざわざFoxconnを就業場所に選んでいるからです。董事長の郭氏は「中国の労働者は愚かではありません。このことに着目してください」と言っています。

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