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消費者庁、来週にも「コンプガチャ」違法見解

ソーシャルゲーム各社の"自主規制"を促す

ソーシャルゲームの稼ぎ頭である「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」について、消費者庁は景品表示法で禁じられている行為として、来週にも違法だという見解を広く周知する方針を固めた。ソーシャルゲーム各社が自主的にやめることを促す。グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)などソーシャルゲームを提供している多くの事業者が戦略の転換を求められそうだ。

「引き延ばしは許されない」と消費者庁

GREEで配信されている「探検ドリランド」では今でもコンプガチャが実施されている

「一般論としてコンプガチャは『クロ』で違法であるという考え方を明らかにする方針。消費者保護の観点から、ずるずると引き延ばしにするのは許されない」

消費者庁で景表法を管轄する表示対策課の片桐一幸課長は8日、こう語った。特定の事業者や業界団体に向けて「要請」することは当面しない考えだ。ただし、「自主的な是正の動きがなければ、次のステップに進まざるを得ない」(片桐課長)という。

違法見解の周知に先立ち、近く「GREE」を運営するグリーや、「Mobage(モバゲー)」を運営するDeNAなど数社から聞き取り調査を行う予定。実態を踏まえたうえで、早ければ来週中の見解公表を目指し作業を進めている。ただし、特定の事業者やゲーム名を指摘することはせず、あくまでコンプガチャの定義と違法であるという見解を示すにとどめる。現在サービスが提供されているコンプガチャの大半が対象となる内容になりそうだ。

4月に入り方針転換

ソーシャルゲームは、より強いカードを得るとゲームを有利に運べる仕組みが多い。強いカードは1回、1枚を引くのに300円ほどが課金されるガチャで得られる。より強いカードほど希少(レア)で出現確率は低い。これが、収益の大半を占めるとされる。だが、出現確率を下げるのには限界があり、淡々とガチャを回し続けるだけではユーザーも飽きてしまう。

そこで導入されたのが、出現確率がそこそこ低い特定のカードを有料ガチャで何枚かそろえた(コンプリートした)ら、最新の「限定レアカード」をプレゼントするというコンプガチャだ。「コンプガチャを導入するとガチャの課金収入が2~3割伸びる」(業界関係者)。ユーザーの射幸心をあおりやすく、すべてのカードをそろえるまでに数万円から高くて20万円もの資金が必要となる事例が相次いだ。

ただ、消費者庁は今年2月時点で、コンプガチャについて違法性があるという認識はなかった。だが、ソーシャルゲームの高額課金に関する消費生活センターへの相談件数が増えていたため、4月に入り改めて精査。このほど違法であるとの見解を固めた。

景表法には、景品付きのくじなどを規制する「景品規制」が定められている。スーパーなどの福引で、あまりに高額な景品につられ、必要のないものを購入しすぎることを抑制する狙いがある。この規制対象を細かく定めた告示に、コンプガチャが対象となり得る項目があることがわかったという。以下が、その文言だ。

「2以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、してはならない」。こうあるように、いわゆる「カード合わせ」による景品の提供は、その金額によらず禁止されている。

次の焦点はコンプガチャの結果として得られるレアカードが「景品」に当たるか否か。消費者庁は「顧客誘引の手段として」「取引に付随して提供する」「経済上の利益」の3条件を満たすものを景品類と定義している。このうち3番目の判断が難しかったが、「レアカードはゲームを進めるうえで強い相手を倒せるという『役務』を提供するもの」であり、経済上の利益であると判断した。

グリー「真摯に対応したい」と待ちの姿勢

決算会見に臨むグリーの田中良和社長(右)と山岸広太郎副社長

「8枚全部揃えばSSレアGET」――。グリーが運営する「GREE」の看板ゲームで、グリー自ら配信する「探検ドリランド」では、今でもコンプガチャのイベントが実施されている。だが8日、決算発表の記者会見に臨んだグリーの田中良和社長と山岸広太郎副社長は、「何らかのご指摘、ご意見があれば真摯(しんし)に対応したい」と、待ちの姿勢を強調した。

同日には、松原仁消費者担当相が閣議後の会見で「ソーシャルゲームの問題性がもっと大きくなる前に、一定の方向性を出す必要があると思っています」などと話し、注意喚起をする必要があるという認識を示した。これに関しても、田中社長は「真摯に耳を傾け、利用環境向上という目的に対して適切に反映していきたい」と語るにとどめた。

しかし、待ちの姿勢を続ければ、事実上、違法な状態が放置され、違法に収益を得る期間が延びるだけだ。それは、グリーだけではない。今もなお、コナミデジタルエンタテインメントがGREEで配信している「ドラゴンコレクション」や、バンダイナムコゲームスがモバゲーで配信している「アイドルマスター シンデレラガールズ」など多数の人気ゲームがコンプガチャのイベントを実施し、収益を得ている。

9日の守安DeNA社長の発言に注目

昨年11月、グリーは営業を不当に妨害されたとして、DeNAに対し損害賠償請求訴訟を起こし、係争中だ。グリーの田中社長はDeNAの違法行為が続いていることを示唆、「違法な行為を違法と知りながらやり続ける、コンプライアンスに対して非常に問題意識のない会社なのかなと感じております」と怒りをあらわにした。だが、コンプガチャを巡る問題では、自らその非難を浴びかねない。

待ちの姿勢はDeNAも同じで沈黙を保っている。9日には福嶋浩彦消費者庁長官の会見があり、より踏み込んだ発言が予想される。同日はDeNAの決算発表の日でもある。創業者の南場智子取締役から手綱を受け取った守安功社長も「真摯に対応する」と繰り返すだけなのだろうか。その発言と対応が注目される。

(電子報道部 井上理)

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