10分で分かる現代アート 理解深める20のキーワード
「NIKKEIアート・プロジェクト」セミナーから

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2012/4/5 7:00
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 街中のオブジェなど身近になってきた半面、難解なイメージも強い現代アート。入門者はどのように楽しみ、どう理解したらよいのか――。現代アートの教育プログラムを手掛ける非営利組織(NPO)「アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)」から2人の講師を招いて3月24日、「現代アートAtoZ」と題した電子版セミナーが日経東京本社2階スペースニオ(東京・大手町)で開かれた。第1部では「現代アートを知るためのキーワード」、第2部では「アートを巡る旅」をテーマに、初心者にもわかりやすく現代アートの楽しみ方を伝えた。2時間半の講演を10分ほどで読める記事として再構成した。(生活情報部 柳下朋子)

第1部「20のキーワードで現代アートをまるわかり」

現代アートについて語る小澤慶介さん(左)とロジャー・マクドナルドさん(24日)

現代アートについて語る小澤慶介さん(左)とロジャー・マクドナルドさん(24日)

講師は、小澤慶介さんとロジャー・マクドナルドさんの2人。小澤さんは映像アート展や街を舞台にしたアートプロジェクトを企画してきたキュレーターで、アートフェア東京のアソシエイトディレクターも務めている。マクドナルドさんは日本に拠点を置くキュレーターで、シンガポール・ビエンナーレ(2006年)など国内外の展覧会企画に携わってきた。

2人が第1部で説明したのが、現代アートを理解するためのキーワード。現代アートは美術館だけでなく街や自然の中など、様々な場所で見る機会が増えている。鑑賞のヒントとなるキーワードを挙げ、その動向を解説した。

■現代アートの「現代」って?

キーワード=<同時代><歴史><問いかけ><美>

マクドナルド 現代アートの「現代」つまり<同時代>とは何を指すのでしょうか。公募団体が主催する絵画展と現代アートギャラリーとで絵を見比べると印象が違う。単純に現代に生まれた美術表現のすべてを「現代アート」と呼ぶわけではありませんね。

小澤 大まかに定義すれば、現代社会の情勢や問題を反映し、美術史や社会への批評性を感じさせる作品のことを現代アートと呼びます。作品テーマと現代社会とにどれだけ接点があるかがポイントです。

マクドナルド アートにおける近代と現代の区切り方は今も議論されており、20世紀以降の美術史は複雑に書き直され続けているといえます。現代アーティストにとって、過去を参照し現在をどう位置付けるか、というのは作品における大きな課題。<歴史>や社会、人の生き方まで含め、アートを通して<問いかける>ことによって、モダンアートの歴史そのものが生まれてきたともいえます。

小澤 1969年、当時ニューヨーク近代美術館にあったピカソの絵画「ゲルニカ」の前でアーティストたちが行ったベトナム戦争への反戦運動は、アートの力で政治や社会に対し直接的に問いかけた事例です。また、絵画や美術という既存の表現形式への問いかけもあります。ドイツの現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターは同じ構図の絵画と写真を並べて見せている。写真の登場後、存在意義が揺らいだ絵画に新たな可能性を問いかけています。

マクドナルド 現代アートの父といわれるマルセル・デュシャンは工業製品をオブジェにし、古典的な<美>に疑問を投げかけました。男性用小便器にサインをした作品「泉」(1917年)が物議を醸し撤去されたことで、自由と言われるアートにも既成ルールがあるという事実を明かしたのです。現代アートにおいて<美>は今も、取り扱いに注意が必要ですが面白いテーマの1つです。

マルセル・デュシャンの「泉」(Marcel Duchamp Fountain 1917, photograph by Alfred Steiglitz.)

マルセル・デュシャンの「泉」(Marcel Duchamp Fountain 1917, photograph by Alfred Steiglitz.)

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現代アート、素朴な疑問

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