2019年1月17日(木)

ソーシャルゲーム「換金市場」の実態とは、競売サイトを温床に膨張
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2012/2/29 7:00
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携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けのソーシャルゲームでも、アイテムを他のユーザーと交換する機能があるため、RMTを巡るトラブルは原理的に起こりえることだった。ただ、パソコン向けのゲームは広い仮想世界を歩き回って遊ぶのに対し、携帯向けゲームは構造が比較的単純なため、RMT行為はそれほど広がらないと考えられてきた。

とはいえ、人気のあるソーシャルゲームでは、「Yahoo!オークション」を中心にカードやアイテムのRMT行為は広く存在している。グリーの場合、バグを突いて複製されたカードを大量に売買するユーザーがいたため、その行動がより目立ちやすかった。さらに、アイテム課金の額が高いことから、苦労してレアカードを入手したユーザーの間に強い不公平感が生まれている。

レアアイテムを容易に手に入れ、換金する方法の存在がわかった以上、それが不正行為であっても、他のゲームで同様のやり方によって収益を得ようとする多くの追随者が登場してくるだろう。

韓国でゲームを発売する前には公的機関「ゲーム物等級委員会(GRB)」の審査が必要(同委員会のウェブサイト)

韓国でゲームを発売する前には公的機関「ゲーム物等級委員会(GRB)」の審査が必要(同委員会のウェブサイト)

■RMTに対する各国の温度差

RMT問題は国・地域ごとに状況が違うため、日本固有の側面があることを理解しておいた方がよい。

オンラインゲーム先進国の韓国では06年ごろ、RMTが社会問題になった。オンラインギャンブルの仮想通貨が、暴力団の資金源になったからだ。同国は06年、RMTを包括的に禁止する「ゲーム産業振興に関する法律」を制定。現在、韓国でゲームを発売する前には、この法律で定められた公的機関「ゲーム物等級委員会(GRB)」の審査を受け、賭博性を持っていないかどうかのチェックを受けなければならない。

ただ07年には、RMT行為を行っていたユーザー2人が同法に基づいて起訴され、最高裁まで争われた。ユーザー側は「ゲーム参加者の『努力』『経験』の積み重ねで仮想通貨を獲得することは、ギャンブルにはあたらない」との立場を主張し、最終的に勝訴するというケースが出ているため、法律には解釈の余地が残されている。

中国から米国に向けてRMTのサービスを提供している「Playerauctions.com」のウェブサイト

中国から米国に向けてRMTのサービスを提供している「Playerauctions.com」のウェブサイト

米国では06年に「インターネットギャンブル禁止法」が成立し、RMT行為が禁止されている。例えば、オークションサイトのeBayで、米ジンガの3000万人ユーザーを抱える「ポーカー」で検索をすると、「フェイスブック、マイスペース、iPhoneなどすべての種類のポーカーゲームのチップについて」という注意書きが現れる。そこでは「オンラインギャンブリングにあたる仮想アイテムや、違法行為のプロモーションは認められない」とし、抵触する行為をした場合には「禁止品として削除する」としている。RMTが皆無という訳ではないが、大手のオークションサイトではほとんど見当たらない。

10年には、中国から米国に向けてRMTのサービスを提供している「Playerauctions.com」に対して、ジンガは自社の利用規約に反して、仮想通貨やアイテムを販売しているとして提訴した。「Playerauctions.com」のサイトでは現在も、RMTの仲介業者として大規模オンラインRPGの仮想通貨などを取り扱っているが、ジンガなどフェイスブック上のソーシャルゲームのタイトル名はない。

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