2019年7月19日(金)

ソーシャルゲーム「換金市場」の実態とは、競売サイトを温床に膨張
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2012/2/29 7:00
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グリーの看板ゲーム「探検ドリランド」にあったバグ(ソフトの不具合)を利用してレア(希少)アイテムを複製し、オークションサイトを介して高額で売りさばくケースが出ている。パソコン向けのオンラインゲーム業界では長年、ゲーム内で流通する仮想通貨やアイテムを現金化する「リアル・マネー・トレード(RMT)」の問題に苦慮してきた。これがソーシャルゲーム分野にも波及したことで、ゲームやオークションのサイト運営会社は対応に追われることになる。だが、RMT市場に関する制度や法律は国・地域によって異なり、ゲームの健全性と自由度を維持しながら不正行為を排除するか、日本の業界なりの知恵が問われている。

グリー「探検ドリランド」の公式ページ

グリー「探検ドリランド」の公式ページ

■現時点でRMTを禁止する法律はない

RMTを巡っては、2004年ごろ、パソコン向けオンラインゲームで深刻な問題として広がった。舞台は「ラグナロクオンライン」(ガンホー)や「ファイナルファンタジーXI」(スクウェア・エニックス)などに代表されるオンライン大規模RPG(ロールプレイングゲーム)。ゲーム内で使う仮想通貨を売買する専門の仲介業者が登場して、その存在が注目されるようになった。

同業者を使えば仮想通貨を容易に現金化できる。このため様々な不正ツールを駆使し仮想通貨を複製したり、中国など海外からインターネットを通じて換金目的で組織的にゲームにアクセスしたりする行為も目立った。

仮想通貨やアイテムが不正に作れるとなると、不公平感が生じ、ゲームの楽しみが失われてしまう。ゲーム会社側が適切な取り締まりの策を講じなかったことに対してユーザーが怒り、「ラグナロクオンライン」などでは、大規模な抗議行動に発展したこともある。

ゲーム会社は「利用規約」でRMTを禁止しこの問題と争ってきたが、日本ではRMT自体を禁止する法律や規制は存在しないのが現状だ。

2010年には愛知県警が、オンラインゲームで仮想通貨などを入手、換金して数千万円を稼いでいた少年グループを摘発したケースがある。しかしRMT行為自体で逮捕された訳ではない。他人のIDとパスワードを使い、本人になりすましてゲームに侵入した「不正アクセス禁止法」容疑での逮捕になっている。

このため、各ゲーム会社は規約違反行為をしたユーザーを割り出す分析ツールで本人を特定してアカウントを削除したり、高度化する不正手段をサーバ内で使えないようにしたりと、イタチごっこを続けている。それでも、仮想通貨やアイテムを換金する国内の専門業者は、現在も存在している。

■RMT問題は多くの「追従者」を生む

オンラインゲームの場合、ユーザーはお金と時間を費やしてゲームを進めていく。このため自分の「キャラクター」や、入手した「アイテム」が単なるデジタルデータにもかかわらず、"資産性"を感じるようになる。

また、本来であれば、ゲームごとに決められたルールに沿ってしか、レアアイテムは入手することができない。だから、現実の世界と同じような希少価値が発生し、それを求めるニーズが生まれる。

それを現実の社会における価値に変えるのが「換金市場」であるRMTだ。ゲームの人気が続き、アイテムなどのニーズが存在する限り、換金目的のユーザーはありとあらゆる手段を使って、システムの脆弱性を突こうとする。不正行為に手を染めるグループとゲーム会社との争いはエスカレートしていく。

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「GREE」で不正行為発覚

急成長ソーシャルゲームに課題も

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