2019年9月17日(火)

行き過ぎたソーシャルゲーム GREEで不正行為の内幕
無法の「換金市場」と「射幸性」

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2012/2/25 7:00
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 旬の芸能人を起用した大量のテレビCMで華やかなイメージの「ソーシャルゲーム」。だが水面下ではゲームの枠を超えた異常な事態が進行していた。レア(希少)なカードを得るためギャンブル性の高い「ガチャ」に10万円以上もつぎ込むユーザー。それらを対象にネットオークションでカードを売りつけ、月間で数百万円を荒稼ぎするユーザー。ついにはカードが複製される不正行為も発覚した。莫大な金銭が動く一大「カード市場」の内幕とは。

きっかけはインターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」だった。

「カード増殖方法流出。これでいいかな? まあ間違ってても別にいーや、俺スーパーレア持ってないし(中略)増殖して転売する人が出てきています注意」――。

グリーが提供する「探検ドリランド」。不正行為発覚を機に、トレード機能が停止された

グリーが提供する「探検ドリランド」。不正行為発覚を機に、トレード機能が停止された

2月19日、日曜日の未明、ソーシャルゲーム関連のスレッドにこんな投稿が載った。不正行為の手順を示した告発だ。舞台は「TOKIO、ドハマリ中。ド、ド、ドリランド」のCMでおなじみの「探検ドリランド」。グリーが自ら携帯電話向けゲームサイト「GREE」で提供する人気のカードバトルゲームで、数百万人規模の登録ユーザーがいる。

投稿には、システムのバグ(不具合)を突いて、手持ちのカードをいくらでも増殖できる方法が記載されていた。次々と増殖に成功した証拠画像がアップされるなど、試したユーザーが狂喜乱舞。それが広くネット上に伝わり、一時、騒然となった。

■売買が常態化、3カ月で約4億円が換金

探検ドリランドで時折遭遇する「キングモンスター」とのバトル画面。強いカードを何枚もそろえないと歯が立たない

探検ドリランドで時折遭遇する「キングモンスター」とのバトル画面。強いカードを何枚もそろえないと歯が立たない

ドリランドはより強いカードを集めながら宝を求めて探検を進めるグリーの看板ゲーム。時折、遭遇する「ボス」や「キングモンスター」と戦い、勝つと先に行ける。ただ、途中から勝つためには仲間の協力や、強いカードが必要となる。

強いカードは1回300円ほどの「ガチャ」を回せば入手しやすい。ガチャとは「ガチャガチャ」を模したカード販売のシステム。強いカードほど出現する確率が低く、ユーザーは出るまで何回もガチャを続けることになる。ゲーム提供会社にとっては、これが主な収益源。なかには10万円以上使っても入手できない希少な「レアカード」も存在し、保有するユーザーは羨望の的だ。

そうしたレアカードの複製が流通すれば、ゲームバランスが著しく崩れ、不公平感からユーザー離れが進む恐れがある。希薄化でレアカードの価値が下がり、ガチャの実入りも減ってしまう。屋台骨を揺るがしかねない憂慮すべき事態に、グリーは対応を迫られた。

19日昼、グリーは「不正利用が発生している可能性があるため、トレード機能を一時停止させて頂いております」と告知。カードが流通しないようにする応急措置をとった。その後、不正行為を確認したグリーは21日昼ごろから一部ユーザーの複製カードを順次、削除。アカウント停止などの処分を行ったうえで、21日18時ごろトレード機能を再開させた。

一応の収束をみた「ドリランド騒動」。しかし問題の根と尾は依然として残ったままだ。

「システムの不備を突いた増殖」という表層的な事象だけをとらえれば、従来のゲームでいう「裏技発見」で済む。だが今回の問題はそんな生やさしい話ではない。有価証券が何枚も偽造されるようなことが水面下で起きていた可能性が極めて高いからだ。騒動の背景を探ると「ゲームアイテムの換金が常態化」していたことが事態をより複雑に、そして大きくしていた。

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