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クックパッド1位 カカクコム2位 上場中堅企業ランキング

「NEXT50」

 日経産業新聞と日本経済新聞デジタルメディア、日経リサーチは共同で、売上高が500億円以下の企業を対象に、資本効率の高さや成長性などから企業の競争力を測った「NEXT50 上場中堅企業ランキング」を20日、まとめた。首位になったのは国内最大の料理レシピサイトを運営するクックパッド。上位にはネット企業や医療関連を中心に独自のビジネスモデルを構築し、市場を切り開いてきた企業がそろった。強さの秘密を検証する。
「クックパッド」のスマホアプリ

隠れたニーズ切り開く

「このレシピ投稿画面、本当に使いやすい配置だろうか」「この新機能を公開したらユーザーはいくら払ってくれるかな」

1位になったクックパッドでは毎日のように社員が議論を戦わせている。サイトは頻繁に更新され「決して"完成"することはない」(同社)。たゆまぬ改善努力が月間1300万人もの利用者を集めるパワーの源だ。

サイトはパソコンや携帯電話などから無料でのぞける。通常は新着順だが、有料会員(月額294円)だと人気順に閲覧できる。有料会員数は利用者の5%程度。売上高の半分以上が会費収入で、残りは食品会社向けのマーケティング支援収入や広告収入が占める。

創業は1997年。学生時代、ネットで地元野菜の即売会情報を紹介するシステムをつくった佐野陽光社長が「農家には旬な野菜をおいしく食べる調理法があるのに全然伝わってない」と思ったのが契機だった。レシピ投稿者に謝礼などは払わないが、コメントの多さで人気が分かる。投稿者は「皆から認められた」という金銭にかえられない満足を得られる。2012年4月期は売上高40億円、税引き利益10億円を見込む。売上高営業利益率は47%に達する。

※続きは2ページ目に

独自モデル築く

2位のカカクコムは価格比較サイト「価格・com」を運営するネット会社。家電やパソコンなど27分野の価格比較や商品情報を載せる。広告収入のほかクリック数やサイト経由の販売実績などに応じ、情報を掲載する家電量販店などから手数料を得る経営モデルだ。

現在は退社した槙野光昭氏が97年に創業。パソコン周辺機器メーカーの営業をしていた槙野氏は東京・秋葉原の家電量販を回るうち「何がどこでいくらで売られているか」という価格情報の「価値」に目をつけた。

同社の第2の柱は口コミのグルメサイト「食べログ」。「やらせ情報」を投稿する業者が問題になったのを受け不正行為対策を強化している。各サイトの合計の月間利用者は約8千万人。「消費情報の水先案内人」として12年3月期の純利益は前期比22%増を見込む。

独自モデルで高収益を上げるのはネット企業だけではない。4位の日本M&Aセンターは中堅・中小企業専門のM&A(合併・買収)の仲介会社だ。中堅企業の後継者不足のニーズをいち早く察知し、91年に創業した。

強みは全国約600の税理士・公認会計士事務所や地方銀行などからなる情報・人脈網。「断トツのネットワークを確立している」(三宅卓社長)

 寄せられる売却情報は年1000件。担当コンサルタントが売り手企業と契約を結んだ後、財務情報などを調査。並行して買い手企業を探し、別の担当者を配置し両者を引き合わせる。中小企業を相手にしたM&A仲介会社がないなか、一から仕組みをつくってきた。

収入は着手金と、成約した場合の仲介手数料。平均で成約まで約1年かかり、成約率は40%程度という。12年3月期の純利益は12億5千万円と過去最高となる見込みだ。

コンサルタントには成果報酬型の給与体系を導入し、実力主義を徹底する。毎年、目標の獲得手数料を決め、それを超えると差額の数%をコンサルタント自身に還元する。トップクラスだと年収が3千万~4千万円になることもあるという。

制度改正、好機逃さず「細やかさ」売りに

11位のエプコも社会の隠れたニーズを察知し、時流に乗った。戸建て住宅会社などから給排水設備の設計を請け負う。メーカーと組み、現場での施工時間を半減できる部材を開発。協力工場を使って部材を組み立て、案件に最も適した仕様にする「きめ細やかさ」が売り。年間約6万5000戸の設計を請け負う。

エプコがメーカーと開発した給水部品(東京都足立区の協力工場)

転機となったのは98年の水道法改正。管の材質など地域ごとの細かい指定がなくなり設計の自由度が高まった。「もともと(規制に)不合理を感じており1番手で進出した」(岩崎辰之社長)ことが今につながった。

いちよし経済研究所の張谷幸一・企業調査部長は「上位の企業は、皆が気づかなかった新しい隙間市場を切り開いてきた点で共通する。パイオニアであるが故に、断トツのシェアを確保できている」と指摘する。未踏の地をいく突破力が他の追随を許さない企業競争力を生んでいる。

◇――――◇――――◇

「NEXT50」解説 周縁にこそ産業構造の芽

NEXT50は資本を効率的に使い、成長を続ける企業を見分ける指標として開発した。インターネットや医療関連の企業が目立つほか、古い業態に新風を吹き込んだ企業もランク入りした。

1位から3位はクックパッドなどネット関連が顔をそろえた。医療では高い技術力を武器にした企業が多い。10位のマニーは手術用縫合針、13位のナカニシは歯科用ドリルの分野で世界で指折りの企業で、ともに海外売上高比率7割を超える。

 医療とネットの融合領域で元気なのが医療サイトのエムスリー(7位)。日本の医師の7割、21万人の会員に対し医薬情報を提供し、製薬会社の営業のあり方まで変えた。売上高営業利益率41%という高収益を誇る。

このほか気象情報のウェザーニューズ(16位)、自転車販売のあさひ(20位)など、古くからのビジネスを刷新した企業もランク入りした。

バブル崩壊後の「失われた20年」で日経平均は今や1989年末につけた史上最高値の4分の1以下。それでも伸び続ける企業はある。先週17日までの時価総額の推移を調べると、89年末比で増加率が最も高かったのは家電量販のヤマダ電機(41倍)。2位は家具のニトリホールディングス(19倍)、3位は家電量販のケーズホールディングス(12倍)だった。

電機、銀行など大企業が幅をきかせていたバブル期、中堅だった3社が「大化け」すると見る人は少なかった。産業構造の変革は周縁から始まるという好例だ。次の変化はNEXT企業の中から出てくるかもしれない。

 調査の方法 上場企業のうち、2011年3月期を直近とする連結売上高(非連結企業は単独売上高)が500億円以下の中堅企業が対象。変則決算の企業と金融関連を除いた。
 ランキング作成にあたっては、NEEDS(日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク)から、(1)売上高営業利益率(営業損益が黒字の会社のみ対象)(2)自己資本比率(3)営業利益増減率(3期前との比較)(4)使用総資本回転率――の4指標を使った。
 各指標をそれぞれ偏差値化した上でその平均値を基に総合スコアを出した(4指標が全て有効値である企業だけが対象。最終赤字のあった企業は除いた)。
 今回の調査対象となったのは全体で2221社。うち、前記の条件に合致した737社を最終的に順位付けした。今後は非上場企業や新興企業にも調査対象を広げていく。データベースとして精緻化し、毎年、日経産業新聞で上位50社を公表する予定。

[日経産業新聞では2012年2月21日付から4回連載の予定で、「NEXT50」に入った企業の強さを分析します]

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