羽ばたく和製アプリ スマホやクラウドの共通基盤を生かす
ネットのチカラ 第8部 「日本発」世界に挑む(中)

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2011/12/15 7:00
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ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを利用する「クラウドコンピューティング」技術の浸透やスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の普及で、ネットベンチャーが世界市場へ参入しやすい環境が整ってきた。基本ソフト(OS)や配信プラットフォーム(基盤)の共通化が進んだためで、英語対応ソフトさえ開発できれば、どこからでも世界に向けてアプリやサービスを提供することが可能だ。

9月に上場を果たしたソーシャルゲーム大手のKlab(クラブ)。東京の六本木ヒルズにあるオフィスはフロアを拡大、開発者が不足するほどの活況を呈している。

Klabは東京・六本木のオフィスを拡大し、開発人員を大幅に増やしている

Klabは東京・六本木のオフィスを拡大し、開発人員を大幅に増やしている

オフィスでは若手の開発者がソーシャルゲームの運営や新規開発に昼夜を問わず没頭する姿が見られる。海外進出もにらんだ開発も始まり、社長の真田哲弥(47)は「クラウド時代にはソーシャルゲームはどこの国のサーバーを使って運営しても同じ」とサービスの本格的なボーダーレス化を強調する。

真田はスマホなどでは「基本的にアプリ市場は英語圏が6~7割を占める」と指摘する。日本で人気を博したソーシャルゲームの仕組みはそのままで、コンテンツを変更して英語対応とすることによって、容易に海外向けアプリに転用することが可能という。

「日本のソーシャルゲームのノウハウは米の2年先を行っている。この2年の先行優位を生かし追いつかれる前に勝負に出る」。真田はフィリピンに開発拠点を整備するなど体制を強化して海外進出を急ぐ。

今年1月、泊まりがけの研修中だったカヤック経営陣のもとに驚くべきニュースが飛び込んだ。「米アップルのiPhone(アイフォーン)向けアプリ『ナカマップ』のクウェートでの利用者が急増している」――。それまで宣伝活動をしていなかったにもかかわらず、1日で8000人がダウンロードしたことが判明したのだ。

カヤックの柳沢大輔社長

カヤックの柳沢大輔社長

ナカマップは2010年12月に提供を開始したアプリ。友達や同僚、家族などでグループを作ると、スマホの全地球測位システム(GPS)機能を使い、仲間内で位置情報を共有できるというもの。待ち合わせやチャット(おしゃべり)などに利用できる。2月後半時点でのダウンロード数の半分はクウェート国内だった。

ただ「同国でのヒットは予想外だったため、その理由について調査できなかった」と、カヤック社長の柳沢大輔(37)は打ち明ける。そのためクウェートを含む海外でのダウンロード数は徐々に下火になっていった。結局、現在は利用者の約3分の2は国内が占めるようになった。

スマホ、特にiPhone向けアプリはヒットを続けるのが難しいとされる。時間がたち、ひとたびランク外に落ちると、宣伝活動などをしない限り利用者に発見してもらうのが難しくなるからだ。特に海外でヒットを継続させるのは容易ではない。

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