プロ野球参入のDeNA、本業揺さぶる「場外乱闘」
模倣・訴訟…問われるソーシャルゲーム業界の健全性

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2011/12/6付
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「『ヒメこい』は、2010年8月10日にサービスを開始して以来、多くの方々にご利用いただいておりましたが、2011年2月28日をもちましてサービスを終了することとなりましたのでご案内申し上げます」

今年1月、GREE上で提供されていた「ヒメこい」というゲームが突然、中止になるという告知がなされた。理由は公表されていないが、ゲームを提供していたウインライト(東京・千代田)というSAPが、コナミから「模倣にあたる」という内容証明を受け取ったことに起因すると見られる。

「どう見ても『ラブプラス』のトレース」「完全にパクリだ」……。昨年11月、ヒメこいの美少女キャラクターがコナミの人気ゲーム「ラブプラス」のキャラクターとそっくりだという指摘がネット上を駆け巡った。その後も、「いもこい!」「契約★魔法少女」など、GREE上のゲームのキャラクターが著名な意匠とそっくりだという指摘が続いた。

「ソーシャルゲーム業界全体のために、このままではよくないと思っている。業界全体が健全に成長し、発展していくためにも、今ここで業界全体が立ち止まり、襟を正す必要がある」。今回、提訴に踏み切るクラブの真田哲弥社長は、コメントを求めるとこう話した。

■業界の盟主としての「覚悟」

ソーシャルゲーム市場が急速に立ち上がったのは、ここ数年の話。SAPも含めた市場拡大は1、2年の出来事である。あらゆる問題は、あまりに急拡大したがゆえの「成長痛」と見ることもできる。しかし調査会社のシード・プランニングによると、ソーシャルゲームの市場規模は11年、1820億円に達する見込み。数千万人のユーザーを抱え、テレビCMの広告出稿で1、2位を独占するソーシャルゲームは、すでに一大産業といえる。

12月2日、横浜DeNAベイスターズの森本稀哲選手は、さっそく親会社となったDeNAの新作ゲーム発表会に参加し、広告塔として活躍した

12月2日、横浜DeNAベイスターズの森本稀哲選手は、さっそく親会社となったDeNAの新作ゲーム発表会に参加し、広告塔として活躍した

特に税制優遇のあるプロ野球という公益性の高い世界に参入したDeNAは、成長痛と看過して許される立場にはなくなりつつある。DeNAの春田会長はプロ野球参入決定の直前、参入の裏にある思いや狙いを、こう明かした。

「球団を持つというのは世間からかなり注目されるわけで、今以上にサービスの質を上げなければならないし、社員の行動も外から見られているというのをもっと意識しないといけない。当然、プロ野球というのは、健全性や公益性というものをより厳しく求められる世界だと思っている。それに応えていきたいという意志があるからこその、参入なんです」

12月4日、楽天市場の流通総額が通年で1兆円を超えたことを記念するセレモニーで挨拶する楽天の三木谷浩史社長。DeNAに関しては「めでたい席なんだから。ノーコメント」とした

12月4日、楽天市場の流通総額が通年で1兆円を超えたことを記念するセレモニーで挨拶する楽天の三木谷浩史社長。DeNAに関しては「めでたい席なんだから。ノーコメント」とした

早速、その洗礼を浴びた格好になったのが、楽天によるDeNA参入への反対表明だ。「プロ野球を使ってモバイルゲームをプロモーションするのは、青少年の教育という観点からどうなのかなという疑問があるだけですよ」「プロ野球が教育的な観点を主目的にしているなかで、それはやめておこうよと」

三木谷浩史社長は、課金ビジネスが青少年に与える影響や、モバゲーやGREEが未成年の援助交際の温床となっていた事実などを問題視した。球界の総意は「問題なし」だったが、DeNAのプロ野球参入によってソーシャルゲームの浸透に拍車がかかれば、未成年者の「使いすぎ」などが社会問題化し、批判の声が上がる可能性もある。

会社のステージを上げるために、厳しい監視の目や制約という「足かせ」をあえて自らに課す――。業界の盟主としての「覚悟」をプロ野球参入で見せたDeNA。援助交際の問題には業界で率先して取り組み、被害児童数をいち早く激減させた。今回はどう向き合うのか。相次ぐ場外乱闘は、DeNAの覚悟を問うている。

(電子報道部 井上理)

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