2018年7月21日(土)

出版新潮流 1800人で書籍の「ソーシャル編集」
新刊本「ソーシャルシフト」の舞台裏

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2011/11/18 7:00
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 11月7日夜、東京・六本木のしゃぶしゃぶ店で、ある著作の出版記念パーティーが開かれていた。来場者は総勢80人。出版記念パーティーといえば通常、著者の友人知人や出版業界関係者が集まるもの。確かにそうした面々もいたが、著者が初めて会う人も全国各地から駆けつけていた。ソーシャルメディアを通じ、編集作業に携わった「ソーシャル編集者」たちだ。

著者の斉藤徹氏(中央上)と「ソーシャルシフトの会」のメンバー

著者の斉藤徹氏(中央上)と「ソーシャルシフトの会」のメンバー

 11月11日、ソーシャルメディアを活用した企業変革の重要性と具体的なプロセスをまとめた新刊本「ソーシャルシフト ― これからの企業にとって一番大切なこと」が出版された。著者はソーシャルメディア関連のコンサルティング会社、ループス・コミュニケーションズ(東京・渋谷)を経営する斉藤徹氏だ。

 アマゾンジャパンの「コンピュータ・IT」関連のベストセラーランキングで1位(17日現在)となり、発売から1週間も経たずに増刷が決まるなど好調な滑り出しを見せている。出版社が日本経済新聞出版社というのは「たまたま」で、何も本記事で宣伝をしようという意図はない。担当編集者と著者いわく「国内初」という、斬新な手法で作られた書籍なのだ。

■フェイスブックで非公開のコミュニティー

 オープン、透明性、顧客との直接コミュニケーション、社員の情報共有……。ソーシャルメディアがもたらすこれらの要素が企業経営を根底から変える様子を、豊富な事例とともに描いた本書。斉藤氏は「ソーシャルメディアで国が変革した『アラブの春』は人ごとじゃない。必ず、多くの日本企業にもアラブの春は訪れる。どういうふうに現場が力を合わせてトップを口説いて変革するか。特に『会社を変えなきゃいけない』と思っている若手に向けて書いた」と話す。

 この本、中身もさることながら、そのプロセスが面白い。ソーシャルメディアを題材にしているだけあって、出版プロセスの重要な部分をソーシャルメディアを通じて公開。全国のユーザー、1800人以上と一緒になって「ソーシャル編集」を実現した書籍なのだ。

 アイデアを思いついたのは著者自身。原稿を「9割方」書き終えた斉藤氏は、出版社への入稿予定日の約3週間前となる9月21日、世界最大のSNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」に非公開のコミュニティー「ソーシャルシフトの会」を開設した。同日に斉藤氏は、会の趣旨として以下の投稿をしている。

 「11月11日に発売予定の僕の書籍『ソーシャルシフト』の原稿をグループメンバー限定で公開します。入稿ぎりぎりまで時間をかけ、できる限りクオリティー高く、世の中に役立つ書籍に仕上げたいと考えています。皆様の忌憚(きたん)のないご意見をいただけると幸いです。またご友人の方で、この内容に興味ある方がいらっしゃれば、自由にお誘いいただいて結構です。できるだけオープンに、多くの方に読んでいただきたいと考えています」

■入稿3週間前から生原稿を公開

 非公開のコミュニティーながら、承認申請は基本的にすべてOKとしたため、入稿日の10月13日時点で1894人という大規模なものとなった。このコミュニティーで斉藤氏は、入稿日までの3週間、自身の「生原稿」をアップし続け、「最初の読者」との交流を図った。

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