原発事故後のエネ政策、6つのシナリオ 科学技術振興機構の北沢氏に聞く
編集委員 滝順一

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2011/10/26 7:00
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日本学術会議は9月下旬、エネルギー政策を議論する上でのたたき台となる「エネルギー供給の6つのシナリオ」を公表した。迅速な脱原子力から原子力発電所の増設まで、幅広い選択肢を示し国民に考える材料を提供するのが狙いだ。まとめ役の北沢宏一・科学技術振興機構顧問(公表時点では同機構理事長)は「太陽光発電など再生可能エネルギーは画期的な技術進歩でコストが安くなる」と話す。

北沢宏一・科学技術振興機構顧問、東京大学名誉教授

北沢宏一・科学技術振興機構顧問、東京大学名誉教授

――10月から様々な政府機関でエネルギー政策の再構築の作業が本格的にスタートしましたが、学術会議の動きは速かった。

「4月の総会で東日本大震災対策委員会の下に『エネルギー政策の選択肢分科会』を設け5カ月でまとめた。福島第1原子力発電所の事故直後、多くの科学者が沈黙し国民が知りたいと思うことに答えられなかった。国民はまず事故の原因、なぜ事故を食い止められなかったかを知りたいと思い、事故が生活にどう影響するかを知りたかった。可能なら原発は止めたいと感じた人も止めたら生活できなくなるのではと悩みジレンマにあった。そんな時に専門家が判断の材料を提供しなくてはならないと思った」

「しかし、学術会議の第3部(理学・工学)ではなかなか賛同が得られず、1部(人文・社会科学)と2部(生命科学)の科学者の支持を得て、分科会が発足できた。理学・工学分野の科学者は原子力分野と関係の深い人もおり、事故への責任感や表だって発言することへの遠慮からコンセンサスを得られなかった」

――分科会の報告書は、全原発を来年に停止し再生可能エネルギーを思い切って増やすシナリオもあれば、寿命に達した原発から順次止めるシナリオ、原子力を電源の主軸に据えるシナリオまで6つを提示していますが、どれが望ましいとは主張していませんね。

「議論の材料を提供するのが目的で、どれかを推奨するのが目的ではない。この6つ以外の様々な中間的なシナリオがありうる。試算に用いたコストなどの数値も現在入手可能なものを利用しており、再計算などで変わる可能性はある。ただ大筋で、こうすればこういうことが起きるだろうという道筋は示せたと思う」

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