「ナチュラルコンピューティング」の新世紀に挑め
村上憲郎のグローバル羅針盤(4)

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2011/9/20 7:00
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第2回、第3回と、クロスメディアがらみの話が続いた。このコラムの読者の多くがご存知と思うが、クロスメディア機能を支える技術は、ハイパーテキストと呼ばれるものである。そしてそのアイデアは、米国の研究者、バネバー・ブッシュが提唱した情報検索システムの概念「memex(メメックス)」に始まると言われている。

バネバー・ブッシュその人や、memexそのものについては、それこそググッていただければ、気の利いたわかりやすい解説がたちどころに見つかるので、このコラムの役割ではない。ここで扱うのは、彼の多くの業績の中で最も初期のものである「微分解析機(DA:Differential Analyzer)」に始まるもう一つの物語である。

村上憲郎(むらかみ・のりお)
元グーグル日本法人社長兼米本社副社長

1947年大分県佐伯市生まれ。70年京都大工学部卒。日立電子、日本ディジタル・イクイップメント(DEC)をへて、米インフォミックス、ノーザンテレコムの日本法人社長などを歴任。2003年から08年までグーグル日本社長を務める。

村上憲郎(むらかみ・のりお)
元グーグル日本法人社長兼米本社副社長

1947年大分県佐伯市生まれ。70年京都大工学部卒。日立電子、日本ディジタル・イクイップメント(DEC)をへて、米インフォミックス、ノーザンテレコムの日本法人社長などを歴任。2003年から08年までグーグル日本社長を務める。

「微分解析機(DA)」とは、名前の通り、微分方程式を解く機械である。どのようにして解くのか?

積分と加算・減算(負の加算)のそれぞれを行う歯車と円盤と軸で構成された機械要素を組み合わせて解くのである。

どのように組み合わせると解けるのか?

積分機と加(減)算機を微分方程式の数式の通りにつなぐのである。この時のつなぐコツは、積分機の入り口が、微分値だと考えてつなぐのである。その上で、この連結した機械要素の集まりを動かせば、その積分機の出口の指示値が、解となる。

この話のポイントは、「この連結した要素機械の集まり」が、微分方程式と等価であるということである。また、解かねばならぬ微分方程式は、解を必要としているなにか現実の現象を表しているということである。

1930年代当時の最も重要な現象の一つは、大砲の弾の飛び方であった。「この連結した要素機械の集まり」が、微分方程式と等価であり、その微分方程式が「大砲の弾の飛び方」を表しているとする。そうすると、「この連結した要素機械の集まり」と「大砲の弾の飛び方」は、姿かたちこそ違えども、物理実体としては相似であるということになる。ここに、相似形計算機(アナログコンピューター)が誕生したのである。

アナログコンピューター(以下、アナコン)は、第二次世界大戦後は、電子回路によって積分器や加(減)算器が構成されるようになり、電子式アナコンとなった。そして、その積分器や加(減)算器がつながれて構成される「電子回路の総体」は、バネバー・ブッシュの作ったDAと同じように、解かんとする微分方程式と等価であり、その微分方程式が表わしている物理現象と相似(analog)である。

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