ゲーム開発者の戸惑い、「ソーシャル」は100円課金の積み重ね
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2011/9/14 7:00
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これまで家庭用ゲーム機向けにソフトを開発してきたエンジニアたちが、ソーシャルゲームの台頭に戸惑っている。ゲーム開発の方法が大きく変わり、アイテム課金など収益を得る仕組みも様変わりしてしまうからだ。9月6~8日に横浜で開催された日本のゲーム開発者向け技術カンファレンス「CEDEC」では、そうした開発者の姿が目立った。

CEDEC会場の様子

CEDEC会場の様子

200近く行われた講演は、ゲーム市場の変化の影響を直接受けて様変わりした。これまでは家庭用ゲーム機の技術会議という色彩が強かったカンファレンスが、一気にソーシャルゲーム関連の講演が目玉として位置づけられ、主役に躍り出たからだ。

特に躍進が目立ったのは、携帯電話を通じて急激にゲーム市場の中で存在感を増しているディー・エヌ・エーとグリーが提供している数々の協賛セッションだった。どれも多くの人が詰めかけ、関心の高さをうかがわせた。一方、参加者の多くを占める既存の家庭用ゲーム機の開発者は戸惑いを隠せなかった。ソーシャルゲームでは基本料金は無料で提供しながらも、アイテム課金を通じて特定のユーザーからお金を得ていく。この方法論が家庭向けソフトと大きく異なるためだ。

■「ゲーセン」ビジネスに近いソーシャルゲーム

ただ、これらの状況に対して、ベテランの開発者の中でも、積極的に挑戦をしていくべきだという立場の人もいた。

Ubisoft.jpgの「Child Of Eden」公式ページ

Ubisoft.jpgの「Child Of Eden」公式ページ

この秋に最新作「Child of Eden」(プレイステーション3、Xbox360)を日本でも発売するベテランの開発者の水口哲也氏(キューエンタテインメント)だ。今後、家庭用ゲーム機向けタイトルの開発だけでなく、ソーシャルゲームへの本格進出を検討している。水口氏は、参加したパネルディスカッションの中で、今回の家庭用ゲーム機からソーシャルゲームへの変化は、過去のゲーム業界で起きた「パラダイムシフトの中で最も大きなもの」だと述べていた。

水口氏は、過去にセガに所属していた時代、「セガラリー」などゲームセンター(ゲーセン)向けのタイトルを作っていた。ゲームセンターでは「ロケーションテスト」と呼ぶ仕組みがあり、販売前のゲーム筐体をゲームセンターに置いて、実際にユーザーがお金を出して継続的に遊んでくれるかどうかを試す。それによって製品の完成度を確認するのだ。

そのとき、開発者は物陰から、ユーザーが100円玉をゲームに投入してくれるかどうかをドキドキしながら見つめるのだ。1回のゲームを遊ぶわずか3~5分の短い時間で、ユーザーが満足してくれて、人の心に充足感を与えられるかという「勝負」である。「ユーザーがゲーム終了後に、ポケットに手を伸ばして、追加で100円投入してくれる姿をみると、密かに『やった』と思ったものだ」(水口氏)という。

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