2019年4月21日(日)

「iの時代」を創った男 ジョブズ氏が駆け抜けた15年
米アップルCEOを退任

(1/3ページ)
2011/8/26 10:03
保存
共有
印刷
その他

IT(情報技術)業界を代表するカリスマ経営者である米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO、56)が24日、退任した。共同創業者でありながら一度は会社を追われ、1990年代後半の経営危機の際に復帰。独自パソコンの「Mac(マック)」を軸に、携帯音楽プレーヤー「iPod」やスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone」などを世に送り出した。

だがジョブズ氏は単なるヒット商品のプロデューサーではない。インターネットとハードを融合させ、100年単位で続いてきた音楽や映像などコンテンツ(情報の内容)の流通形態や人々の生活、ワークスタイル、子供の教育手法までも一変させた。「iの時代」を創(つく)った男は、創造的破壊の体現者でもあった。

ジョブズ氏は商品やサービスの名前に「i」をつけることにこだわり続けた。IT業界では「非連続的」な進化を遂げないと勝ち残れない――。「i」の一文字は独創性を追い求めてきた同氏の思いの表れでもある。

アップルの2011年4~6月期の純利益は前年同期比2.2倍の73億800万ドル(約5700億円)。株式時価総額は約3500億ドルで、今月上旬には米資源大手エクソンモービルを上回り、米国企業で最大に上り詰めた。

アップル再生のきっかけを作った「iMac」を持つジョブズ氏(1998年)=AP

アップル再生のきっかけを作った「iMac」を持つジョブズ氏(1998年)=AP

その進軍は13年前のある日に始まった。

「これはインターネットの興奮と、操作が簡単なマックのマリッジ(結婚)によって生まれた商品だ」。1998年5月に発表した「iMac」。米カリフォルニア州クパチーノ市のアップル本社からほど近い劇場で、ジョブズ氏は熱弁を振るっていた。

カラフルな半透明のプラスチックに包まれたこのマックには、当時の標準的なパソコンに搭載されていたフロッピーディスク駆動装置がなかった。「いずれすべてのコンテンツはネットか大容量ディスクでやりとりされるようになる」。音楽や映像が難なく送受信できる時代を予見し、開発陣の異論を押し切ってあえて旧来型の記録媒体を捨てたのだ。

iMacの「i」はむろん「internet(インターネット)」の頭文字だが、それ以外の意味も込められている。「individual(個人)」「instruct(教育)」「inform(情報)」「inspire(高揚)」――。劇場のステージに立つジョブズ氏の背景には、これらの文字が大きく映し出されていた。

その前年の97年には暫定(インターリム=interim)CEOに就任しており、自ら「iCEOと呼んでくれ」というほどの凝りようだった。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報