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米国流割安株投資「ダウの犬」戦略 日本での効果は?

編集委員 田村正之

米国で有名な「ダウの犬(Dogs of the Dow」戦略という割安株投資術をご存じだろうか。ダウ工業株30種平均の採用銘柄の中から、配当利回りの高い順に10社を選んで投資し、1年後に売却することを繰り返すと高収益が期待できるというものだ。

配当利回りは「配当÷株価」なので、配当が一定なら、売られて株価が安くなると配当利回りは高くなる。そして「dogs」には「さえないもの」という意味がある。

要するに「売られすぎて(株価がさえなくて)配当利回りが高くなっている」銘柄に投資する。ただし、すぐにつぶれてしまうような企業なら危ないので、世界的大企業で減配や倒産の可能性が比較的少ないダウ30銘柄を対象にするわけだ。

同じ戦略を日本で実施すればどうか。いわば「日本版ダウの犬」戦略として、東証株価指数(TOPIX)のうち時価総額が大きい「コア30」銘柄を対象に、大和証券キャピタル・マーケッツの吉野貴晶チーフ・クオンツ・アナリストに試算してもらった。具体的には、前の年の年末時点でコア30の中で配当利回りが高かった(つまり割安な)10社に均等な金額を投資する。

結果は2月28日付けの日本経済新聞資産運用面「株価のクセ」の一部で紹介した。しかしスペースの関係でごく一部しか載せられなかったので、ここで具体的な対象銘柄など詳細を示したい。

表Aは2001年以降の「日本版ダウの犬」の対象となった各銘柄と、各銘柄に均等投資した場合の成績。その年のコア30全体と日経平均株価の騰落率も示した。

グラフBで分かるように、この10年間で日経平均が25%下がり、コア30全体では実に半分になってしまったのに対し、「日本版ダウの犬」の成績は約8割増だった。日経平均に対しては8勝2敗、コア30に対しては9勝1敗。この期間で見る限りは、かなりの好成績だ。

再び表Aで各年の動きを見てみよう。「日本版ダウの犬」が際立って好成績だったのは特に2009年。金融危機のさなかで多くの銘柄が売り込まれ、対象となった10銘柄を見ると、日産自動車、三井物産、三菱商事など、前年末の配当利回りは5~6%がごろごろしている。日産自がこの年に153%上昇するなど、大きなリターンにつながった。

「日本版ダウの犬」銘柄は、日経平均が下げた01年、02年、07年、08年、10年に、いずれも日経平均やTOPIXより下げ幅が小さかったり、プラスを維持しているのも興味深い。ただし当時の小泉純一郎首相による郵政選挙などで株価が大幅高になった05年は、コア30にも日経平均にも負けた。

もちろん今後もずっと「日本版ダウの犬」戦略が好調を維持し続けるかは分からない。こうした戦略の多くは、広く知られると先回りして買う人が増え、効果が薄れる。米国でもこの手法が広く知られて実行する人が増えた2000年代後半、「効果が薄れた」との指摘が多く聞かれた。

しかし日本では「株=成長を買うもの」というイメージが強いせいか、成長株にばかり注目が集まりがち。このため収益実態以上に売り込まれる銘柄も多く、そこで買っておくことによる割安株投資の効果は米国に比べてもともと高いことが知られている。その意味で「日本版ダウの犬」戦略の効果もまだしばらく薄れない可能性はある。

(ご愛読ありがとうございました。このコラムは今回をもって終了します。)

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