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レアメタル、なぜ特定の国に?

訂正 1月22日7時に掲載した「レアメタル、なぜ特定の国に?」の記事中、「セレン」とあるのは「セリウム」の誤りでした。
 ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)やレアメタル(希少金属)を安定して手に入れられるよう、政府が資源外交に力を入れ始めた。こうした資源が採れるのが特定の国に偏っているのは、なぜなのか。

Q 石油や天然ガスが中東などにたくさんあることは学校で習ったけれど、資源が偏っているのはそれだけじゃないんだね。

A そうなんだ。レアアースが希土類と呼ばれるのは土や泥にわずかに含まれているからで、もともと世界中に広く分布している。しかし生産国は限られていて、2005年の統計では中国が世界産出量の93%を占め、2位のインド(3%)、3位のタイ(2%)を大きく引き離しているんだよ。

Q なぜ、そうなったの。

A 大きくかかわるのが、採掘するときのコストの問題だ。レアアースの埋蔵量をみると中国は3割ほどで、中央アジアや米国、豪州などにもたくさん眠っている。ただ、レアアースを含む鉱石は放射性元素を一緒に含んでいることが多く、先進国では鉱山開発により環境が破壊されるとして規制が厳しくなった。一方、中国は規制が緩いうえに労働力も安い。採掘コストの安さを武器に、ここ10年ほどで生産量を大きく伸ばしたんだ。

Q 尖閣諸島沖の漁船衝突事故の影響でレアアースが手に入りにくくなったのも、中国頼みになったためなんだね。

A そうだよ。輸入をひとつの国だけに依存しているのは何かと問題がある。超強力磁石に欠かせないネオジムや研磨剤に使われるセリウムなどは中央アジアなどにも埋蔵量が多い。そこで日本政府はこれらの国の資源探査や鉱山開発に協力して、資源の安定確保をめざしているんだ。

Q レアメタルという言葉もよく聞くけど、レアアースと何が違うの?

A レアアースは17種あり、レアメタルの一部だ。技術的、経済的な理由で採取が難しい鉱物をレアメタルと総称し、合わせて47種ある。電気自動車のバッテリー向けに注目されるリチウムもレアメタルの代表だ。

Q リチウムの資源もチリやボリビアなど南米に偏っていると聞いたよ。

A そうだよ。リチウムはほかの資源とは事情がやや違っていて、鉱石から採るのは全体の3割ほど。残り7割は塩分を多く含む「かん水」を干して集める。リチウムは世界中の海水にわずかに含まれているのだけれど、南米アンデス山脈の盆地は数千万年前までは海だったので、湖の水のリチウム濃度が高い。これを天日で干せば、安価に採取できるんだ。

Q レアアース、レアメタルと一口にいっても、生い立ちや採り方はまるで違うんだね。

A そうだよ。それぞれの元素がなぜ不思議な性質を発揮するのか、未解明な点も多い。いま注目されているのは、鉄やアルミなど安くて身近な材料を巧みに組み合わせ、レアアースに似た性質を引き出す代替材料の研究だ。物質ごとに、代替材料を開発できそうなのか、輸入に頼るにしてもリサイクルや備蓄などでリスクを抑えるといった戦略を描くことが大事なんだ。

(編集委員 久保田啓介)

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