ゲームでもお金を取られると悔しい 朝倉かすみさん リレー小説12月掲載

2010/11/25 7:00
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――「お金」をテーマにしたリレー小説シーズン2。朝倉さんの今回の小説は「ソーシャルアプリ」(利用者同士の交流機能を生かしたゲームをはじめとしたアプリ。SNSなどで急速に広がっている)を題材にされるそうですね。

普段、小説を書いているときは原稿料が何枚でいくらとかお金のことは全然気にしてないんです。それがソーシャルアプリをやるようになって、「サンシャイン牧場」とかやってると収穫したものを人に取られたりするんですけど、収穫したものを取られるより、(ゲーム内の)お金取られるとすごい悔しいんです。何でそんなに悔しいんだろうと。リアルでもバーチャルでも、お金ってやっぱりなにか違うんだなあと思ったんですね。

ほかに野球のソーシャルアプリもやってるんですけど、どうしても勝てないんですよ。それで実際のお金つぎ込んでいい選手連れてきたりして、それでも勝てない。怖いですねえ。勝ったから何があるものでもないんですけどねえ。

それまでゲームとか一切しなかったのが、夏に人から招待されてうっかりやりはじめたら、めくるめく世界(笑)。毎日やるとはっきりとレベル上がったりお金たまったりするじゃないですか。小説だと書いたからってはっきりレベルが上がるとかないですから。

――ソーシャルアプリを題材にした小説はまだほとんどないと思いますが、どんなお話になるんでしょう。

水産加工会社の総務、春夫、五十歳が主人公です。妻一人、高校生の娘一人。会社の社長は同い年の二代目で、はまってるソーシャルアプリに(実際の)お金をがんがん使う。会社で取締役を増やすという話が出て、春夫は「もしかしたらおれも」と。そんな中で、ジュニア社長に招待されて春夫が初めてSNSに入会してアプリ始めて――。要は「接待アプリ」ですか。そんな言葉ないですけど(笑)。

――新刊『夏目家順路』(文芸春秋刊)のお葬式の料金の話などもそうですが、朝倉さんはいつも作品にお金のことをうまく取り込んでいますね。

やっぱり人の生活は、いくら収入があって支出があってというので変わりますから。ドラマとか見てて、(裕福でないはずの)登場人物がばんばん外食してると「それはないよね」と思う。短期就労者、今はフリーターっていうんですか、してたころは時給とか日給とかよく見てましたからねえ。

――アルバイトで稼いだお金をほとんど本に投じていた時期があったとか。

実家だったんで生活費いらなくて、本を買えればそれでよかった。この作家の作品を全部そろえたいとか、新しく買った本棚全部埋めたいとかあるじゃないですか。もちろん、私の場合は(買うだけでなく)全部読まなきゃいけないというミッションがあったし。って今思うと、私、昔からゲーム体質だったんですかね。

▼あさくら・かすみ 1960年北海道生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で北海道新聞文学賞、04年「肝、焼ける」で小説現代新人賞、09年「田村はまだか」で吉川英治文学新人賞を受賞。著作に「ロコモーション」「声出していこう」「夏目家順路」など。

朝倉かすみさんの小説は、12月2日から掲載します。 

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