2018年9月24日(月)

正確に時を刻む体内時計に3つのなぞ

2010/7/24 7:00
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 私たちの体内にはほぼ24時間のリズムを刻む時計遺伝子がある。最近では病気や精神状態と深くかかわっていることが判明し、注目分野の1つになっている。時計遺伝子には(1)周期はほぼ24時間(2)光などでズレをリセットできる(3)温度が変わっても一定――の3つの性質があり、研究者はその仕組みのなぞを解き明かそうとしている。

  朝に目覚め夜に眠くなるのは、時計遺伝子のせいだったんだ。

  地球上の生物が昼夜の周期に合わせて進化してきた証拠といえるね。20億~30億年前に誕生した光合成をするシアノバクテリアに時計遺伝子の原型がみられるそうだ。それが私たちの体にも備わっていることは、1997年にマウスで時計遺伝子が見つかって確定した。現在20個ほどの関連する遺伝子が分かっているという。

  どうやって24時間を刻んでいるのだろう。

  実はまだその全体像がよく分かっていないんだ。ただ約20個の遺伝子が巧みに連動してたんぱく質の合成と分解を繰り返し、リズムを生み出していると考えられている。人間では個人差はあるけれど24時間より少し長めで25時間には達しない。地球の1日の周期とは少しずれているけれど、朝日をみてリセットして修正ができるようになっている。そうしないと、ズレが蓄積して生活のリズムも乱れ、大変なことになっていたかもしれないね。

  夜行性の動物も同じなの?

  基本はそのようだ。ただ周期は24時間よりも短くなっているケースが多いらしい。日没時か日の出の時にリセットして、周期を伸ばす修正をしているみたいだね。

  温度が変わっても一定ということがなぜ不思議なの。

  たんぱく質の合成と分解でリズムを刻んでいるわけだから、研究者は酵素反応のように、体温付近で最も反応速度が高くなり、低温なら速度も遅くなると考えていた。ところが時計遺伝子のリズムはセ氏27~37度の範囲で温度を変えてもほとんど速度が変わらず、どうしてだろうと悩ませてきたんだ。最近その謎を解き明かせそうな温度変化に強い反応が見つかり、リズムを刻む仕組みが分かりかけてきたようだよ。

  時差ボケや不眠などを解消する方法が見つかるかもしれないね。

  時計遺伝子の変調によって認知症やうつ病に似た症状になる人がいて、光照射などの方法で治療を試みる例が登場している。夜勤に伴う体調不良や不眠症、ホルモン分泌の異常などとも関係しているから、今後、病気の原因究明や予防法や治療薬などを開発する研究も活発になっていくだろうね。

(科学技術部編集委員 永田好生)

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