2019年7月18日(木)

為替手数料を巡る老経営者の落胆 外貨投資の誤解(3)
編集委員 田村正之

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2010/7/5 7:00
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ますます身近になってきた外貨投資

ますます身近になってきた外貨投資

大手銀行のホームページを眺めていると、「外貨定期 オトクなプラン」というのがあった。「米ドル お預入期間1カ月 金利年率8%(税引き後6.4%)」とある。「この低金利のご時世に8%!」と飛びついてしまいそうになるが、少し冷静に考えてみたい。

実はこの商品、為替レートが横ばいのままだったら、満期の1カ月後には元本割れしてしまう。「8%」という言葉から感じる有利なイメージとは大きなギャップがある。

なぜそうなるのか。注意点は大きく2つ。まず金利は「年率」、つまり「1年間預けたとしたら……」という前提で表示されるが、実際にこの金利が適用されるのは、預け入れ期間の1カ月だけだということ。

例えば1ドル=100円のときに1万ドル預けた場合を考えてみる。年間なら税引き後6.4%で640ドルの利息がつくはずだが、実際の利息はその12分の1の53.33ドルだけしかつかない。

もう一つは為替手数料が片道1ドルにつき1円かかること。つまり最初に預け入れるときは1円を上乗せした101円でドルを買うことになるので、1万ドルで101万円必要だ。

満期の1カ月後、元本は利息がついてドルベースでは1万53.33ドルに増えているが、為替が100円のままなら、円に戻すときにまた片道1円の手数料がかかるので、1ドルにつき99円しかもらえない。1万53.33ドル×99円で手取りは約99万5280円。101万円の投資額に対し、約1万4720円の元本割れとなる。

金利が年率表示なのに実際の運用期間は短いことや、為替手数料負担の重さなどから、以前からこうした外貨預金のあり方には疑問の声も出ていた。このためホームページにはそれなりのリスク説明も入るように変わってはきている。しかしこうした商品に投資した人に聞いてみると、仕組みが十分分かっていなくて、高い表示金利に飛びついている人が今も多いようだ。

→次ページは「元本割れの原因となる為替手数料のカラクリ」

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