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この拡張カードがあれば、もうBDレコーダーは不要?

フリーライター 竹内 亮介

アイ・オー・データ機器は6月17日、地上・BS・CSデジタル放送チューナー機能を持つ拡張カード「GV-MVP/XSW」を発売した。デスクトップパソコン向けの製品で、テレビ放送をパソコン画面で視聴できるだけでなく、HDDやブルーレイ・ディスク(BD)と組み合わせて番組録画も可能になる。最大の特徴はフルハイビジョン画質で録画できる「MPEG-4 AVC/H.264」形式のデータ圧縮機能を備えている点だ。

MPEG-4 AVC/H.264は最近の パソコンやBDレコーダーでは珍しくないが、 パソコン向けデジタルチューナーカードでは初めて。古いパソコンでも最新の「レコーダー」に変身するわけだが、それだけに再生したときの画質やパソコンのCPU負荷が気になるところ。実際に録画して試してみた。

1テラのHDDに最長約1428時間録画できるが・・・

GV-MVP/XSWは、デジタル放送をフルハイビジョン規格で録画するときに、7段階の圧縮モードを選択できるようになっている。容量を15分の1にする「HR15」モードで1テラバイトのHDDに録画した場合、約1428時間の録画が可能という。ただし圧縮すれば画質低下は避けられない。どの程度の圧縮モードなら視聴に堪えられるのか。

個人差はあるだろうが、2分の1に圧縮する「HR2」モードや3分の1の「HR3」モードまでなら、ほとんど気にならない画質だった。目を画面の近くまで寄せてよく見ると、布地の模様や海の波といった映像が粗いように感じるが、全体的な精細感や動きのなめらかさは放送を圧縮せずにそのまま録画する「DR」モードと変わらない。

一方、5分の1に圧縮する「HR5」モードより圧縮率が高くなると、動きが多い映像では全体が粗くなったり、輪郭が不明確になったりする。

最も圧縮率が高い15分の1の「HR15」モードでは、ハイビジョン番組らしい精細感はほとんど再現できなかった。ただ、テロップの文字や写真など動きの少ない映像なら輪郭の不明瞭さや画質の粗さはそれほど気にならない。ニュースやバラエティー番組であれば、HR15モードで大きな不満は感じないだろう。一方、映画や紀行番組、スポーツ番組などを美しい映像のまま楽しみたいなら、圧縮はHR3モード程度までにとどめておいたほうがよさそうだ。

ほぼカタログ値どおりの容量に圧縮

7段階の圧縮モードで、実際にデータ容量が2分の1~15分の1に圧縮されるかどうかも調べてみた。まず圧縮しないDRモードでHDDにいったんテレビ番組を録画し、さらにHDDからBDに各モードで圧縮して録画して、ファイル容量を比べた。

10分間のBSデジタル放送の番組をそのまま録画すると、HDDでのファイル容量は約1.7ギガバイトだった。これを3分の1に圧縮するHR3モードでBDに録画すると530メガバイト、10分の1の「10HR」モードでは170メガバイトになった。両モードともほぼカタログ値どおりの結果だ。一方、15分の1のHR15モードの場合は、130メガバイトで約13分の1にとどまった。

フルハイビジョン解像度を維持した場合の録画モードと録画時間
録画の種類モード名1秒あたりのデータ量(ビットレート)1テラバイトのHDDに録画できる目安
そのまま録画DR24Mbps(BSデジタル放送)約95時間
DR17Mbps(地上波デジタル放送)約133時間
圧縮録画HR212Mbps約188時間
HR38Mbps約285時間
HR54.8Mbps約476時間
HR73.4Mbps約606時間
HR102.4Mbps約909時間
HR122Mbps約1111時間
HR151.6Mbps約1428時間

アイ・オー・データ機器の資料による(Mbps:メガビット/秒)

低いCPU負荷、オフィスソフトも支障なし

圧縮はGV-MVP/XSW上のチップで処理するので、デスクトップパソコンのCPUにかかる負荷は低いようだ。1世代前の低価格モデルに近い構成の自作パソコン(CPUはインテル「ペンティアム Dual-Core E5200」の2.5GHz版)に組み込んでテストしたところ、1番組の録画でCPUの使用率は20~25%、2番組の同時録画でも30~35%程度だった。

使用したパソコンの主な仕様
CPU(駆動周波数)Pentium Dual-Core E5200(2.5GHz)
メモリー4ギガバイト
チップセットIntel G45
グラフィックスチップセット内蔵
HDD500ギガバイト
BDドライブBRD-UH8S(アイ・オー・データ機器製)
OSウィンドウズ7 アルティメット(64ビット版)

録画番組の再生時は50%程度に上がったものの、同時にウェブサイトを閲覧したりオフィスソフトで文書を作成したりしても支障はなかった。パソコンで仕事をしながらテレビ番組を録画・再生することもできそうだ。

GV-MVP/XSWはほかにも、BDレコーダーとそん色ないほど様々な機能を備える。たとえば登録したキーワードやジャンルにマッチする番組を自動で録画する「おまかせ録画機能」、録画した番組の簡易編集機能、解像度や画質を維持したままBDに録画する機能、録画した番組をほかのパソコンやテレビなどで視聴する配信機能などがある。番組予約は電子番組表のほかインターネットの番組表サイトにも対応し、外出先から携帯電話で予約することもできる。

既存のデスクトップ機が最新のデジタル放送受信環境に

最新ではないデスクトップパソコンでも、GV-MVP/XSWと外付けHDDやBDドライブを追加すれば、BDレコーダーと同等の環境が手に入る。

価格も安い。2テラバイトのHDDを搭載し、2系統のデジタルチューナーを搭載するBDレコーダーの実勢価格は現在30万円前後。一方、GV-MVP/XSWの実勢価格は2万円前後。2テラバイトの外付けHDD(実勢価格2万5000円前後)と外付けBDドライブ(同2万5000円前後)を併せて購入しても合計約7万円で済む。

最近は3D表示に対応する高機能なBDレコーダーも登場しており、単純な価格比較はできない。パソコンの筐体を開けてGV-MVP/XSWを組み込む作業が面倒と考える人もいるだろう。しかし、デスクトップパソコンでデジタル放送を視聴する最高の環境を求めるなら、現状ではGV-MVP/XSWが最適であるのは間違いない。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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