2019年1月21日(月)

センサー内蔵のコンタクトレンズ、STなどが緑内障診断向けに製品化

2010/3/26付
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伊仏STMicroelectronics社は,スイスSensimed AGと共同開発した,無線通信機能付きMEMS圧力センサを内蔵したコンタクト・レンズを緑内障診断向けに製品化する。STによると,早ければ2010年第3四半期に製品化する。このコンタクト・レンズ(図1~2)を緑内障患者が装着することで,眼科医が緑内障患者の日常生活における眼圧を連続的に把握できるようになり,適切な治療を施しやすくなるとする。眼圧とは,眼球を球形に維持するための眼球内の圧力である。

図1 MEMS圧力センサやLSIを集積化したコンタクト・レンズ。伊仏STMicroelectronics社のデータ

図2 コンタクト・レンズを指先に載せたところ。伊仏STMicroelectronics社のデータ

図3 円形の駆動部とパッシブ部のひずみゲージで構成。伊仏STMicroelectronics社のデータ

Sensimedが開発済みの技術に,STがMEMSセンサで培ってきた信頼性向上のためのノウハウや,量産技術を融合して実用化する。Sensimedの技術は,MEMS圧力センサを集積したコンタクト・レンズを使って,緑内障患者の目の湾曲を24時間体制で監視できるものである。Sensimedは,この技術を「SENSIMED Triggerfish」と名付けている。従来は,眼科医が病院内の計測装置を使って,患者が通院した時に眼圧を測っていた。

緑内障患者の眼圧を日常生活の中で連続的に計測しなければいけない理由は,緑内障では,眼圧が異常に高い値になった時に視覚神経が損傷してしまい,進行性の視覚喪失を引き起こすからである。

従来の検査方法では,計測装置が大きく眼科外に持ち出すことが難しかったため,眼圧の変化を24時間体制で監視できなかった。視覚神経の損傷が起きた後に「損傷した」という診断結果を得ても,適切な治療を施せずに視覚喪失が進行してしまう患者が多い。

Sensimedの方法では,MEMSセンサを集積化したコンタクト・レンズと,首の周囲に装着する小型受信モジュールの2種類の部品を使う。このコンタクト・レンズは,眼科医が患者に装着し,患者が翌日通院してコンタクト・レンズを取り外すまでの,ほぼ1日間の眼圧変化のデータを得ることができる。

コンタクト・レンズには,眼圧を検出するための薄いMEMS圧力センサとともに,信号処理LSIや,送受信用のRFデバイスが集積されている。コンタクト・レンズに集積されたデバイスは,電磁波を通して駆動するため,電源は搭載していない。これらのMEMSやLSIは,コンタクト・レンズを装着した患者の視野を阻害しないように配置されているとする。

MEMS圧力センサは,円形の駆動部とパッシブ部のひずみゲージで構成されている(図3)。このMEMS圧力センサは,スイスSwiss Federal Institute of Technology of Lausanne(EPFL)の開発成果である。

STは現在,MEMS圧力センサの信頼性を高めて量産プロセスに移植するための開発に,Sensimedと共同で取り組んでいる。STによると,MEMS圧力センサの開発が2010年第2四半期中に完了することを前提に,2010年第3四半期に生産を開始し,実証試験を始める予定である。2010年第3四半期以降,欧州で製品を発表し,2011年末までに米国における活動を開始する計画である。

(Tech-On! 加藤伸一)

[Tech-On! 2010年3月25日掲載]

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