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金縛りはどうして起きるの?

医学的には睡眠障害の一種

夜中に目が覚めたら、強い力で胸が押さえつけられて息苦しく感じ、体が思うように動かない――。こんな体験をした人は多いだろう。典型的な「金縛り」の現象だ。「霊感」と結びつけて考える人もいるが、科学的な研究も進んでいる。体にはどんなことが起きているのだろうか。

Q 金縛りは医学的にはどう説明されているのかな。

A 「睡眠まひ」と呼ばれているよ。睡眠障害の一種で、疲れているときに起きやすいんだ。本人は強い恐怖感に襲われることが多い。若者を中心に日本人の約4割が経験しているという調査もある。

Q 一体何が起きているの。

A 福島大学の福田一彦教授(精神生理学)は、学生に実験室のベッドで寝てもらい、睡眠まひを起こした時の体の動きや脳波、筋肉の働きを観察してみたんだ。すると、金縛りの最中も、特に苦しがる様子はなく、手先がかすかに動く程度だった。目覚めた後に「部屋の様子をこの目ではっきり見た」と報告した人もいたけど、実際には実験中はずっと目をつぶったままだった。

Q つまり夢を見ていたということか。

A おそらくね。ただ、脳波の様子は通常の夢見の時とは大きく違っていたよ。金縛りは浅い眠りの時に起きるんだけど、通常は目が覚めているときに出るアルファ波という脳波が大量に出ていたそうだ。

濃い色のところがアルファ波が多く出ている。通常の夢見と比べ金縛りの時は脳が活性化している(福島大学の福田一彦教授提供)

Q 頭の中が混乱しそうだね。

A 通常の夢の時とは脳の状態が異なるために、普通とは違う夢の見方をしているというのが福田教授の考えだ。普通の夢では、非現実的なことが起きても変だとは感じないよね。でも、金縛りの場合は脳の状態は起きている時に近いので夢を現実のように感じてしまう。体が思うように動かないのも通常の夢見の時と同じなのに、これを異常事態と思ってしまうんだ。

Q 胸が圧迫されるような感覚を覚えるのはなぜだろう。

A 浅い眠りの時は、心拍数や呼吸が乱れることが多いため、胸が圧迫される感覚を覚える。その理由を脳が勝手に考えて「誰かに胸を押さえつけられている」「人がのしかかっている」といった幻覚を生み出すと考えると説明がつくようだ。

Q 結局は脳が勝手に生み出したものなの。

A そうだね。だとすれば、その現れ方は個人的な経験や、その人が育った国や地域の文化の違いによって様々に変わるとも考えられるね。例えばアメリカでは枕元に宇宙人が現れて、宇宙船に連れて行かれたといった誘拐体験を語る人が目立つそうだ。こうした報告は他の地域ではあまりないんだ。金縛りの地域版の一つとして理解できるのではないかと福田教授は言っているよ。

(編集委員 吉川和輝)

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