風を巻く声、声明の恍惚感 詩人 佐々木幹郎
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「声明(しょうみょう)」という仏教音楽がある。仏教寺院で僧侶たちが唱える声の音楽だ。日本では東大寺の大仏開眼供養(七五二年)のとき唱えられたのが最初と言われている。もともとインド・中国から伝えられたが、長い時間のなかで日本化した。空海が伝えた真言声明、円仁が伝えた天台声明が有名だ。
声明は仏教の経典を単旋律で歌う。男声のリードボーカルがいて、その後を多数の男声が重なってついていく。唱和していく声...
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