奥田務(1)新しい小売業へ
歴史守るために変わる 百貨店業界、保守脱却に挑む
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今から9年前の2006年12月11日。私は1人の紳士を京都のホテルで待っていた。午後4時、部屋のドアをノックする音がした。彼とは知らない仲ではなかったが緊張した面持ちが窺(うかが)えた。
ポプリの微(かす)かな香りが緊張をほぐしたのだろう。部屋に招き入れ、用意してあったコーヒーをポットからカップに注ぐころには彼はいつもの温和な表情になっていた。彼の名は名古屋が地盤の百貨店、松坂屋ホールディングス...