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33年後のなんとなく、クリスタル 田中康夫著

中年になった彼女たちの「憂国」

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一九八〇年に新人賞を受賞し単行本がベストセラーとなった『なんとなく、クリスタル』の衝撃を、まだ生々しく記憶している人は少なくあるまい。バブルと称される時期よりずっと早く、ブランドとグルメの情報を網羅した風俗小説であると同時に、豊かさが飽和した日本の空虚感を予言的に湛(たた)えていた。

本書はタイトルの通り、同作の33年後を描いている。ただし本書では、作者にきわめて近い「僕」ヤスオが一人称で語って...

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