春秋
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小津安二郎監督の「東京物語」に、上京した老夫婦が義理の娘と都心を巡る場面がある。銀座で百貨店の屋上に立つと遠くに国会議事堂、手前に重厚感のあるビル。「モダンボーイで銀座っ子だった」(川本三郎著「銀幕の東京」)小津が選ぶ都会らしい風景といえる。
▼東京の顔のひとつだったこのビルはすでに無い。昭和初めに建てられ、当初はマツダビル、後に銀座東芝ビルと呼ばれた。マツダは東芝の祖業であり看板商品だった電球の...
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